2019年の読書メーター

2019年の読書メーター
読んだ本の数:229
読んだページ数:66209
ナイス数:1442

青春鉄道 2020年度版 (MFコミックス ジーンシリーズ)青春鉄道 2020年度版 (MFコミックス ジーンシリーズ)
読了日:12月31日 著者:青春
つけびの村  噂が5人を殺したのか?つけびの村  噂が5人を殺したのか?感想
2013年、山口県限界集落で殺人放火事件が発生した。私はインタビューに答える男性の背後の家に貼られた異様な川柳の画像が瞬く間に拡散したことを覚えている…が、事件の概要や経過には全く無関心であった。本書は事件を丹念に追ったルポ。著者が本書を発行することになった経緯やオンライン上の有料記事などの記載もあり、期せずして2013年から現在までのノンフィクションライターの置かれた状況史としても読める。村は死によって包囲されている…は某有名ホラー小説の冒頭だが、村は噂によって包囲されている…現実の方がオソロシイ…
読了日:12月31日 著者:高橋ユキ(タカハシユキ)
文豪ストレイドッグス (18) (角川コミックス・エース)文豪ストレイドッグス (18) (角川コミックス・エース)
読了日:12月28日 著者:春河35
3月のライオン 15 (ヤングアニマルコミックス)3月のライオン 15 (ヤングアニマルコミックス)
読了日:12月26日 著者:羽海野チカ
沈黙の目撃者 (文芸書)沈黙の目撃者 (文芸書)感想
亡くなった人と会話ができる不思議なコップ。『ツナグ』を思わせる設定だがそこは西澤保彦。後半になればなるほどエログロ度がマシマシ。全く救いがないあたりいっそ潔い。コップの成り立ちの胡散臭さも面白くてその成立過程の物語も読みたかった。
読了日:12月26日 著者:西澤保彦
きのう何食べた?(16) (モーニング KC)きのう何食べた?(16) (モーニング KC)
読了日:12月25日 著者:よしなが ふみ
スワンスワン感想
ショッピングモールで起きた無差別殺人。犯人は殺され、自殺した。現場に居合わせた片岡いづみは生き残った者としてネットやテレビからバッシングを受ける。ある日、被害者の親族に雇われたという弁護士がいづみに接触。事件関係者を集めて当日の証言を突き合わせる会合に誘われる。…後味がいいとは言えないが、非常に印象深い小説だった。恩田陸のQ&Aや、藪の中のような各自の証言を突き合わせて本当は何があったのか突き止めていく物語かと思ったが、作者の意図はそこにはなかった。
読了日:12月25日 著者:呉 勝浩
カナダ金貨の謎 国名シリーズ (講談社ノベルス)カナダ金貨の謎 国名シリーズ (講談社ノベルス)感想
国名シリーズ第10弾。読みやすい文章と火村・アリスの心温まるやりとりはむしろ目くらまし(?)で、内容は本格ミステリであり、フーダニットありハウダニットあり、中編、短編織り交ぜてバラエティ豊かな内容。二人のファンとしては「あるトリックの」や「エア・キャット」がよかった。
読了日:12月23日 著者:有栖川有栖
グランドシャトーグランドシャトー感想
大阪、京橋のキャバレー「グランドシャトー」の伝説のホステス、ルーの生涯を、キャバレー史、ひいては芸能文化史を背景に描く物語。…ルーの生涯を描きつつ、ルーが憧れ、大好きな先輩ホステス、真珠の物語でもある。ルーは真珠にあこがれつつも、真珠のようにはなれないと自らが輝ける場所を目指す。真珠の内面は語られないけれど、ルーと一緒にチキンラーメンをすすっている時、真珠は本当に幸せだったんじゃないだろうか。親子でも、恋人ではないこの絆を何と呼ぶのかは分からない。でも二人は一緒にいて、確かに幸せだったんだろうと思う。
読了日:12月20日 著者:高殿 円
月の落とし子月の落とし子感想
6B 宇宙飛行士が、月でのミッション中に謎のウィルスに罹患した。たった一人生き残った日本人宇宙飛行士工藤晃は仲間の遺体をせめて地球に届けたいと帰還を目指すがトラブルが発生。宇宙船は千葉のマンションに墜落する。そして、未知のウィルスは拡散されてしまう。…と、ここまではSF苦手でもワクワクして読めたが後半。感染症の専門家が情に流されて発症者を放置したり、医療職でなくてもそれなりに賢いはずの茉由が暴走したりと残念な展開に。
読了日:12月18日 著者:穂波 了
それ以上でも、それ以下でもないそれ以上でも、それ以下でもない感想
5B+ 事件は早々に起こるものの探偵活動がなく、もどかしい。主人公の神父は苦悩してるだけで徹底的に何もしないのはいっそ潔いほど。終盤で物語が急展開して畳み掛けるように終わってしまった感じがした。淡々とした筆致で閉鎖的なコミュニティーの残酷さを描いているがもう少し説明が欲しかった箇所もある。正直、最後に…で?と思ってしまった。
読了日:12月16日 著者:折輝真透
よちよち文藝部 世界文學篇よちよち文藝部 世界文學篇
読了日:12月15日 著者:久世 番子
竜頭町三丁目帯刀家の徒然日記 毎日晴天! 番外編 (キャラ文庫)竜頭町三丁目帯刀家の徒然日記 毎日晴天! 番外編 (キャラ文庫)
読了日:12月15日 著者:菅野彰
【2019年・第17回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】 怪物の木こり【2019年・第17回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】 怪物の木こり感想
4B 少なくとのもエンタテイメントのミステリとしての文法は守られている。サイコパス言い過ぎだし文章が頭が悪すぎるところ、人物像が全く立ち上がって来ないところが気になる。
読了日:12月15日 著者:倉井 眉介
乙嫁語り 12 (ハルタコミックス)乙嫁語り 12 (ハルタコミックス)
読了日:12月14日 著者:森 薫
ちはやふる(43) (BE LOVE KC)ちはやふる(43) (BE LOVE KC)
読了日:12月14日 著者:末次 由紀
不穏な眠り (文春文庫)不穏な眠り (文春文庫)
読了日:12月12日 著者:若竹 七海
去にし時よりの訪人去にし時よりの訪人感想
3C+ この美文を私が理解できず。那智は最初から謎めいた人物として描かれているので、最後に正体を明かされても、だから?ってなる。
読了日:12月11日 著者:蓮生 あまね
名もなき星の哀歌名もなき星の哀歌感想
2B+ 良平はある日、大学で漫画家志望の健太と友人になる。健太がある日、尾行されてると言い出し、ほどなくしてジュンと名乗る男性が二人に接触。割りのいいバイトを持ちかけられる。…まず、ミステリではない。が、この賞ではよくあること。記憶を操作できるという能力からの物語の組み立ては新人離れしていた。多分、応募のために相当、原稿を削ったんじゃないかな。作中作とかディティールが星の瞳のシルエットを彷彿させられたが作者の年齢では知らないか。突っ込みどころは多々あれど、読ませる力はあったと思う。
読了日:12月08日 著者:結城 真一郎
インソムニアインソムニア感想
1C PKO派遣された隊員たちに何があったのか。PKOの是非、現場と幹部と政治家と医者の価値観の対立、風土病、文明から置き去りにされた村と国連軍という名の侵略、メンタルヘルス…とテーマがてんこ盛りで焦点がぶれている。
読了日:12月08日 著者:辻 寛之
パズルゲーム☆サクシード 5 (白泉社レディースコミックス)パズルゲーム☆サクシード 5 (白泉社レディースコミックス)
読了日:12月08日 著者:野間美由紀
沼の王の娘 (ハーパーBOOKS)沼の王の娘 (ハーパーBOOKS)感想
ヘレナは優しい夫と二人の娘に恵まれ、自家製ジャムの売れ行きも好調。しかし幸せな日々は、終身刑であったはずの父が脱走したと一報で暗転した。ヘレナの父は母を誘拐。電気も水道もない沼地でヘレナを出産。ヘレナはそこで12歳になるまで育った子どもだった。…ヘレナは狼に育てられた少女とも言える。沼を脱出し、所謂「普通」の生活を送る彼女だったが父の脱走をきっかけに過去を追想する。過去と現在が入り乱れる物語は最初とっつきにくいがサバイバルな内容とヘレナの揺れる内面に読者は身悶えし、ページをめくる手が止まらなかった。
読了日:12月07日 著者:カレン ディオンヌ
創竜伝14 <月への門> (講談社ノベルス)創竜伝14 <月への門> (講談社ノベルス)感想
何年ぶりの新刊なのか数えるのも億劫。今回も小早川奈津子は大暴れで四兄弟はマイペース、と。物語の端々に作者が垣間見えるのが田中芳樹の特徴ではあるが、書くことに倦んでいるように見えた。書きたくないなら書かなければいいものを。古今東西、完結しなかった物語はいっぱいある。
読了日:12月05日 著者:田中 芳樹
神とさざなみの密室神とさざなみの密室感想
右と左の活動家がそれぞれ密室で目を覚ます。傍らにはそれぞれのグループのリーダーと思われる死体が。記憶に欠落のある二人は、対立しつつも失われた真実を探るべく力を合わせる。…このご時世、なかなか難しいテーマを取り扱ったものだなぁと。作者自身の主義主張はあれど作品の中ではかなり用心深く中立を保っていると思う。密室ものというガチの本格ミステリと政治思想という相性が悪いとされてきたものを融合しようとした意図は感じるがいまいち混ざり切っていないような気がする。
読了日:12月02日 著者:市川 憂人
恋と国会 (1) (ビッグコミックス)恋と国会 (1) (ビッグコミックス)
読了日:11月29日 著者:西 炯子
炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火炎の中の図書館 110万冊を焼いた大火感想
1986年にロスアンゼルスで起きた図書館火災を中心に、アメリカの図書館の過去、現在、未来を描くノンフィクション。火事は衝撃的な事件だけれども、本作はそれがメインテーマではないので注意。翻って日本の図書館行政の何とも貧弱なことよ。
読了日:11月29日 著者:スーザン・オーリアン
生者と死者に告ぐ (創元推理文庫)生者と死者に告ぐ (創元推理文庫)感想
クリスマスを間近に控えたある日、散歩中の女性が狙撃され、射殺された。翌日にも狙撃事件が起き、新聞社に死亡告知が届く。捜査を進めるうち、被害者をつなぐ線が判明するが、関係者は口を濁し、警察は後手に回る。真犯人は誰なのか?最後の最後まで読者をやきもきさせる良質のフーダニットであり臓器移植問題に深く切り込んだ社会派ミステリ。オリヴァーとピアの無力感に心を痛めつつ、いつのまにか犯人が本懐を遂げることを望んでしまった。そして、被害者遺族の一人、カロリーネの活躍も本書の注目ポイント。なんて強くて賢い女性なんだろう。
読了日:11月29日 著者:ネレ・ノイハウス
メインテーマは殺人 (創元推理文庫)メインテーマは殺人 (創元推理文庫)感想
自らの葬儀の手配をしたその日、資産家の老婦人が殺された。作家のわたし(作者と同名)は元刑事のホーソーンから、この事件を捜査する自分を主人公に小説の執筆を依頼される。…前作の時も思ったが、事件とその解決はミステリ的に目新しいものはない。そこに作者と同名のワトソンが登場することによる語りの妙が本書の魅力だろう。ただ日本には既に有栖川有栖という作家=探偵=記録者がいる。読みやすいしキャラも立ってるし続編を意識してかホーソーンも謎が多いし(ここも火村、江神との共通項)全体としては満足です。
読了日:11月23日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ
監禁探偵監禁探偵感想
美少女探偵アカネが監禁されながら(?)華麗な推理を披露して事件を解決していく。強制的な安楽椅子探偵もの。敢えて監禁されに行くという発想が凄い。奇抜なファッションと微妙な倫理観で読者も煙に巻きつつ、本当の目的が判明する最終話は壮絶。双子トリックを弄したりして、ミステリファンの心は擽られまくりでした。
読了日:11月21日 著者:我孫子 武丸
こうして誰もいなくなったこうして誰もいなくなった感想
短編集というには掌編あり中篇ありで、作者の言う通り、見本市、な作品集。正直これを読むなら火村アリスの短編集を読んだ方がよほど作者の魅力と実力がわかるのでは。ファンなら。
読了日:11月20日 著者:有栖川 有栖
緋い川緋い川感想
時は明治。鉱山の街を舞台に赴任してきた新米外科医が謎の事件を追う。横溝っぽさを出そうとしているのかもだがあまり成功してるとは。伝奇、ミステリ、社会派、時代劇、どれをとっても中途半端だった。
読了日:11月16日 著者:大村 友貴美
同潤会代官山アパートメント同潤会代官山アパートメント感想
同潤会アパートを舞台に、時代に翻弄されながらも逞しく生き抜いた八重の一生を描く…って朝ドラか。
読了日:11月16日 著者:三上 延
世にも美しき数学者たちの日常世にも美しき数学者たちの日常感想
同著者の、芸大を取材した既刊は面白かったが、これは柳下のドジョウを狙って失敗した感アリアリ。
読了日:11月15日 著者:二宮 敦人
白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)
読了日:11月15日 著者:小野 不由美
白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)
読了日:11月15日 著者:小野 不由美
白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)白銀の墟 玄の月 第四巻 十二国記 (新潮文庫)
読了日:11月15日 著者:小野 不由美
白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)白銀の墟 玄の月 第三巻 十二国記 (新潮文庫)
読了日:11月15日 著者:小野 不由美
ノースライトノースライト感想
青瀬稔は建築士として活躍していたが、バブル崩壊に伴い職を失った後、妻子とも別れ、鬱々とした日々を送っていた。そんな青瀬を自分の設計事務所にスカウトしたのがかつての大学の同級生である岡嶋。そんなある日、青瀬の代表作である信濃追分の家「ノースライト」が空き家になっていることを知る。施主の吉野は行方不明で、二階の窓の前にタウトの作らしき椅子が一脚置かれていた。椅子を手がかりに吉野の行方を探す青瀬。一方、岡嶋は地元に建設予定の美術館のコンペ受注に燃えていた。指名業者にノミネートされた矢先、岡嶋に記者が訪ねてくる。
読了日:11月08日 著者:横山 秀夫
目撃目撃
読了日:11月07日 著者:西村 健
黄色いダイアモンド (ビーボーイノベルズ)黄色いダイアモンド (ビーボーイノベルズ)感想
前半と後半でかなり趣が異なる作品。ボーダーの勇と彼をずっと見守ってきた邦彦。ゆうても勇は木原作品にしてはクズ度は低め。後半ではすっかりいいおとんになってる。後半の主人公は勇の息子、俊一。あの勇の息子にしては良くできた子で、そら辛い目にも合うけど、彼なら自分の未来を切り開いて強く生きていけるんじゃないかな。
読了日:11月06日 著者:木原 音瀬
クオリティランドクオリティランド感想
ペーターと愉快な仲間たちが巨大資本と戦うお話。笑えるけど笑えない。この小説を読んだ後でニュースを見ると、まるでこの世界がクオリティランドになってしまったような錯覚。
読了日:11月06日 著者:マルク=ウヴェ・クリング
世界のまんなか~イエスかノーか半分か 2~ (ディアプラス文庫)世界のまんなか~イエスかノーか半分か 2~ (ディアプラス文庫)
読了日:11月05日 著者:一穂 ミチ
イエスかノーか半分か (ディアプラス文庫)イエスかノーか半分か (ディアプラス文庫)
読了日:11月04日 著者:一穂 ミチ
祝祭と予感祝祭と予感感想
本編の、語られなかったエピソードを収録した短編集。出逢い編と副題をつけたい。本編の緊張感溢れるがっつり長編に対して、一つ一つのエピソードはごく短くて物足りなさを感じるほど。名曲のさわりだけ紹介されたアルバムのような趣。装丁も素敵で本編とあわせて本棚に飾りたい。ただ、これだけ読んでも意味がわからないと思うので、本編を読んでからがいいと思います。
読了日:11月03日 著者:恩田 陸
BLUE GIANT SUPREME(9) (ビッグコミックススペシャル)BLUE GIANT SUPREME(9) (ビッグコミックススペシャル)
読了日:11月03日 著者:石塚真一
OFF AIR(2)OFF AIR(2)
読了日:11月03日 著者:一穂 ミチ
St.ルーピーズ (祥伝社文庫)St.ルーピーズ (祥伝社文庫)感想
日本を代表する企業の子息令嬢が大学内で結成するオカルト研究会は揶揄をこめて「St.ルーピーズ」と呼ばれていた。そこに赤貧の二神が所属。二神にはある特技があった。…解説に詳しいが、作者の十八番である密室状態から消失したもの(人)の謎を解く、人が死なないミステリ。事件の背景のテクスチャも重くはない。消えてなくなりたいという願望が底辺にあるのか否か。トリックは細かいところまで詰めるのに人間関係は曖昧に残すのは、人間関係は物理トリックのように割り切れたり目くらまししたりできないという寓話か。
読了日:11月01日 著者:長沢樹
センチメンタル・フレンド (ビーボーイノベルズ)センチメンタル・フレンド (ビーボーイノベルズ)感想
7年過ごした女の家から追い出された久と、高校の同級生だった小田が再会する。行く当てのない久に同居を提案するが高校時代、久は小田から告白されていた。…「まやま」はよかったんだけど、ごりごりのBLが読みたく入手。ゆうても久はさほどクズでもなく、サド気のある小田に翻弄されるのみ。二人のかみ合いつつすれ違う気持ちがもどかしい。小田視点で描いたら久は相当酷い人になると思う。久はクズっちゃそうだけど、性別女だったら価値観が色々逆転しそう。
読了日:11月01日 著者:木原 音瀬
SF作家は担当編集者の夢を見るか? 毎日晴天! 17 (キャラ文庫)SF作家は担当編集者の夢を見るか? 毎日晴天! 17 (キャラ文庫)感想
秀の作品が映画化!浮かれる家族と奔走する担当の久賀を尻目に秀は他人事のように捉えていた。そんな帯刀家では子どもたちが成人式を迎え、保護者二人はしみじみ感慨に浸る。秀が情緒不安定になることを恐れる家族だったが、意外に穏やかな様子で…。…大河と秀が、担当編集者と作家という関係でなくなり、そのことに秀がやっと気付いた話。あなたが私を愛する気持ちを尊重する、という最初から繰り返されたテーマのようにも見えるが、秀は例によってやっと尻から殻が取れたところ。自分を粗末にすることは自分を愛する人をも粗末にするということ。
読了日:10月29日 著者:菅野彰
カメラはじめます! (サンクチュアリ出版)カメラはじめます! (サンクチュアリ出版)
読了日:10月29日 著者:こいしゆうか
捜し物屋まやま (集英社文庫)捜し物屋まやま (集英社文庫)感想
探し物屋を営む間山兄弟と隣人たちの物語。第一話は、放火されたゴミ屋敷の主、三井が主人公。ウラがないのが不思議なくらい人のいい間山兄こと和樹に救われたと思ったら、弟の白雄に初対面で殺されかける。…レーベルから想像はついたが作者にしては毒も暴力も控えめなので初心者に最適。能力と容姿はあるがメンタルがお子ちゃまな白雄と何があっても真っ白な和樹はいいコンビなんだろう。回収されていない伏線がないわけでもないから、続きも読みたいがファンとしてはこの毒の少なさが気になるので次はもう思いっきりヘドが出るいつもの感じで是非
読了日:10月28日 著者:木原 音瀬
サイコセラピスト (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)サイコセラピスト (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
数年前、夫を殺した容疑で逮捕された画家アリシア。彼女は事件以降、一枚の絵を残して以降、沈黙を貫いていた。精神病院にいる彼女を救えるのは自分だけだと、心理療法士のセオはアリシアのいる病院に転職する。アリシアの事件を紐解くうちに見えてくる驚愕の真実とは。…「サイコ」は本来「精神」の意味だが、あまりにも有名な映画や「サイコパス」などの派生語によって、得体の知れないホラーチックな雰囲気を持つ言葉になっている。この小説も、題名を直訳すれば「心理療法士」だが、当然「サイコ」の影響からは逃れられない。
読了日:10月28日 著者:アレックス マイクリーディーズ
恋のヒペリカムでは悲しみが続かない 下 (TO文庫)恋のヒペリカムでは悲しみが続かない 下 (TO文庫)感想
(上からの続き)赤松の哲学が理解できて、すると今度は八坂にやきもきする。また、何の悩みもなく飄々と生きているように見えた篠田にも苦悩があり、谷堂がそれを理解していくところもいい。人は見た目が9割、第一印象でほぼ決まってしまう、などとよく言うけれども、本当にそうだろうか?人は自分の見たいようにしか相手を見ない、見られない。自分の理解を超えた先を掴もうとする彼らが眩しく感じられる。この物語に超常現象や奇跡は何もない。ただ、人と人が交わることを奇跡と呼ぶのならば。
読了日:10月26日 著者:二宮敦人
恋のヒペリカムでは悲しみが続かない 上 (TO文庫)恋のヒペリカムでは悲しみが続かない 上 (TO文庫)感想
不思議なバー「ヒペリカム」。ここでは恋の悩みがたちどころに解決するという。3人の個性的な従業員とオーナーが経営する優しい場所に今日も悩める子羊が来店する。…特に印象的だったのは第二章。スタッフの谷堂と篠田がそれぞれ客の八坂と赤松の担当となる。実は八坂と赤松がカップル(未満)。生い立ちも性格も全く異なる4人がそれぞれの出会いを通して少しずつ成長していく。全員に少しずつ共感し、少しずつ反発を覚えた。唯一の女性キャラである赤松だが女性だからと共感はできない。むしろその奔放さに反発した。けれども(下に続く)
読了日:10月26日 著者:二宮敦人
拳銃使いの娘 (ハヤカワ・ミステリ1939)拳銃使いの娘 (ハヤカワ・ミステリ1939)感想
11歳の少女ポリーの日常はある日、急展開した。放課後、迎えに来た父ネイトに連れ去られる形で二度と家には戻れなかった。父ネイトの側がポリーの家となり、やがて「拳銃使いの娘」となる。…育ちより氏。ポリーはネイトの娘として備わった才能があり、訓練を経て立派(?)なちびっ子ギャングへと成長する。この物語に是非や善悪を論じるのは野暮だろう。少女と暴力というおぞましい組み合わせが見事なエンタテインメントに仕上がっていて読者はその恐ろしさと、少女が大人の世界を手玉に取って強かに生きていく姿に感服するのみ。
読了日:10月26日 著者:ジョーダン・ハーパー
シェイクスピア警察 マクベスは世界の王になれるか (集英社オレンジ文庫)シェイクスピア警察 マクベスは世界の王になれるか (集英社オレンジ文庫)感想
時は少し未来。シェイクスピアの正本以外の上映を禁じた世界で、かつての演劇仲間だった正道と空也は取り締まる警察と地下演劇人に別れていた。…シェイクスピアや演劇に全く知識がないのでだいぶ覚束ない読書ではあった。結果、私なりの解釈は、昨今喧しい表現に対する規制へ、表現者として出した一つの声明ではないかということ。私は難しいことはわからないが、今、表現に対して危うい世界が築かれようとしていることはわかる。観客(受け手)としては、ただ、面白いと思うものに正当な対価を支払うことだと思う。
読了日:10月24日 著者:菅野 彰
金田一37歳の事件簿(5) (イブニングKC)金田一37歳の事件簿(5) (イブニングKC)
読了日:10月23日 著者:さとう ふみや
金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(7) (講談社コミックス)金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(7) (講談社コミックス)
読了日:10月23日 著者:船津 紳平
南部芸能事務所 season5 コンビ (講談社文庫)南部芸能事務所 season5 コンビ (講談社文庫)感想
メリーランド、ナカノシマ、津田あおいを抱える南部芸能事務所の物語はこれで最終巻。オーディション番組の決着がついた前巻は彼らとともにハラハラドキドキさせてもらったが、今回は番組以降のいわば日常のお話。番組が終わっても日々は続く。変わる人、変わらない人それぞれだけど日常は続いていく。なぜ、続けるのか?を、今、決めなくてもいい。できることをやる。それでいいんだって背中を押された気がする。それにしてもさみしい。また彼らに会いたい…。
読了日:10月23日 著者:畑野 智美
東の海神 西の滄海 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)東の海神 西の滄海 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
読了日:10月23日 著者:小野 不由美
図南の翼 十二国記 (講談社X文庫)図南の翼 十二国記 (講談社X文庫)
読了日:10月22日 著者:小野 不由美
白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)
読了日:10月22日 著者:小野 不由美
白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)
読了日:10月22日 著者:小野 不由美
華胥の幽夢 十二国記 (講談社X文庫)華胥の幽夢 十二国記 (講談社X文庫)
読了日:10月20日 著者:小野 不由美
風の万里 黎明の空(下) 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)風の万里 黎明の空(下) 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
読了日:10月20日 著者:小野 不由美
風の万里 黎明の空〈上〉十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)風の万里 黎明の空〈上〉十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
読了日:10月20日 著者:小野 不由美
月の影 影の海〈下〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)月の影 影の海〈下〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
読了日:10月17日 著者:小野 不由美,山田 章博
月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
読了日:10月17日 著者:小野 不由美,山田 章博
丕緒の鳥 (ひしょのとり)  十二国記 5 (新潮文庫)丕緒の鳥 (ひしょのとり) 十二国記 5 (新潮文庫)
読了日:10月17日 著者:小野 不由美
魔性の子 (新潮文庫)魔性の子 (新潮文庫)
読了日:10月16日 著者:小野 不由美
風の海 迷宮の岸(下) 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)風の海 迷宮の岸(下) 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
読了日:10月15日 著者:小野 不由美
風の海 迷宮の岸〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)風の海 迷宮の岸〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
読了日:10月15日 著者:小野 不由美
黄昏の岸 暁の天(そら)〈下〉―十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)黄昏の岸 暁の天(そら)〈下〉―十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
読了日:10月14日 著者:小野 不由美
黄昏の岸 暁の天(そら)〈上〉―十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)黄昏の岸 暁の天(そら)〈上〉―十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
読了日:10月14日 著者:小野 不由美
白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)
読了日:10月14日 著者:小野 不由美
白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)
読了日:10月14日 著者:小野 不由美
17931793感想
結核を患うヴィンゲと帰還兵のカルデルが、運河に浮かんだ芋虫状態の遺体の謎を追いかける。題名通り舞台は1793年、スウェーデン。…ヴィンゲは死にかけだしカルデルは喧嘩早いしハラハラするがそんなのは序の口。権力に阻まれながら真実を追求するうちに見えてくるのはおぞましい現実。ページを捲るのがためらわれるほどだった。最後の最後までハラハラドキドキしっぱなしで不整脈を刻んだこともしばしば。結末は私好みで大変満足。作者が最後の最後まで読者を楽しませようとしたことがわかる。続編が待たれる。
読了日:10月13日 著者:ニクラス ナット・オ・ダーグ
イタリアン・シューズイタリアン・シューズ
読了日:10月10日 著者:ヘニング・マンケル
介護のうしろから「がん」が来た!介護のうしろから「がん」が来た!
読了日:10月09日 著者:篠田 節子
法月綸太郎の消息法月綸太郎の消息感想
法月綸太郎が活躍するシリーズ最新刊。四編のうち二編はドイルとクリスティの作家論でもある。読んでいてそのことに戸惑いもあったが、読書会の隅で、議論されている内容はよく分からないけど論者のパッションを目の当たりにしているような…かつて参加したオフ会を追体験しているような気持ちになった。
読了日:10月06日 著者:法月 綸太郎
途中下車はできません途中下車はできません感想
北海道のローカル鉄道駅を舞台に、ワケアリの人が集う。北海道の鉄道事情を絡めつつ、色々あって最後に大団円。…物語に意外さはなく大団円に至る強引さも散見されるものの、北海道のマイナーな名所が魅力的に描かれた物語。北海道は広すぎて、道内でも飛行機を使ったり、特急で数時間の移動が必要な土地だが、そこに行かなければわからない魅力があるのだろう。最終章で、Suica(の北海道版のKitaca)が地方で普及していない点を突いたトリックはなるほどと感心した。北海道の鉄道の未来が明るいものでありますように。
読了日:10月06日 著者:山本 巧次
悪意悪意感想
死んだはずの息子から電話がかかってくる『トム』。高名な作家の遺作は翻訳出版すること、という指示があった『レイン』。三十年ぶりに再会した親友から不穏な依頼を受ける『親愛なるアグネスへ』。学校中のアイドルだった少女が卒業パーティーの夜、失踪した『サマリアタンポポ』。新米教師が亡くなった生徒の成績をつけるため遺族の元を訪れる『その件についての全ての情報』。意外な結末を期待するより、そこに至る過程を楽しむのが吉。とはいえ『トム』と『情報』はそれぞれ別の意味でオチにぞくりとさせられた。
読了日:10月06日 著者:ホーカン・ネッセル
ゆるゆり (17) (百合姫コミックス)ゆるゆり (17) (百合姫コミックス)
読了日:10月02日 著者:なもり
凪のお暇(6) (A.L.C.DX)凪のお暇(6) (A.L.C.DX)感想
凪母上京編。前半。この物語がどこまで行くかわからないけど、凪と凪父(髪の毛くるくる)の再会があるとしたら凪母を地獄から連れ出してくれるのは凪父かもしれない。そしたら母問題クリア。(もしくは凪母の母が死んでしがらみがなくなって上京)。今後の展開としてゴンが恋と気づいた時=失恋。凪は慎二とモトサヤでメンヘラ化した市川さんを救うのがゴン(この二人よく似てるし)。で、色々解決するからお暇は終わり、でどうだろう。
読了日:10月02日 著者:コナリミサト
凪のお暇 コミック 1-5巻セット凪のお暇 コミック 1-5巻セット
読了日:10月01日 著者: 
さよならの言い方なんて知らない。2 (新潮文庫nex)さよならの言い方なんて知らない。2 (新潮文庫nex)感想
この物語の構造がゲーム的でありながら、同時にその中で、ゲームのシステムに挑む少年を主人公にするというメタ。世界の成り立ちに挑む、というテーマの作品は数多あるだろうが世界の枠を設定する…つまり、枠を内側でなく外側に作ったのが面白いと思う。単純にマトリックス的な世界かと思いきや、現実に存在した街の形跡もあることが判明する。また、平行世界の可能性も出てきた。一体、架見崎って何なのか。私、気になります。次巻が楽しみ。
読了日:10月01日 著者:河野 裕
作家の人たち作家の人たち感想
原稿を押し売りする風采のあがらならい作家、フレッシュな新人を募集する出版社。遅筆作家の玉稿を待つ編集者。題名をくじ引きで決める有能な編集者。文学賞の実態。最初から最後まで笑わせてもらって大いに楽しんだ。最後の章で創作者の業を感じた。新人発掘の章が一番面白かった!
読了日:09月27日 著者:倉知 淳
エレベーターエレベーター感想
兄の復讐をしようと銃を持って家を飛び出した少年ウィル。エレベーターは各階で停まり、その都度、彼がよく知る人物が現れる。タバコの煙が充満する箱の中で兄の死の真相が徐々に明らかになっていく。…散文詩。横書きで視覚的に配置されたテキストと凝った装丁で絵本の趣もある。不思議な味わいの物語だった。
読了日:09月25日 著者:ジェイソン・レナルズ
【第161回 芥川賞受賞作】むらさきのスカートの女【第161回 芥川賞受賞作】むらさきのスカートの女感想
むらさきのスカートの女をひたすら描写する「わたし」。「わたし」と「女」の距離感が近づきすぎて、読者は女より「わたし」の方に興味が向くが、「わたし」は執拗に女に付きまとい続ける。その頃はむしろ女のことより「わたし」が誰で何なのかが知りたいのに、そのもどかしさが気持ち悪い。けれども、結局最後まで「わたし」のことはほぼわからないまま。つまり、他人を語る(騙る?)ことでしか輪郭を持てない「わたし」が浮かび上がってくる。同じ場所で同じようにクリームパンを食べても、「わたし」は「女」にはなれない。
読了日:09月25日 著者:今村夏子
みかんとひよどりみかんとひよどり感想
主人公の潮田は腕のいいフランス料理のシェフだが、紆余曲折あり、現在は個性的なオーナーの経営するフランス料理店の雇われシェフ。店は赤字続きでオーナーの要望もあり、ジビエ仕入れ方法に悩んでいた。狩猟免許を取得して初めて単独で狩りに出掛けた先で遭難してしまう。潮田を助けたのは、猟師の大高だった。腕はあるが金のために猟をしたくない大高を説得し、ジビエを店に卸してもらえることになる。オーナーにも好評で、経営も上向いてきたある日、大高がトラブルに巻き込まれていることを知る。
読了日:09月25日 著者:近藤 史恵
鬼灯の冷徹(29) (モーニング KC)鬼灯の冷徹(29) (モーニング KC)
読了日:09月24日 著者:江口 夏実
ダンジョン飯 8巻 (ハルタコミックス)ダンジョン飯 8巻 (ハルタコミックス)
読了日:09月24日 著者:九井 諒子
教育格差 (ちくま新書)教育格差 (ちくま新書)
読了日:09月19日 著者:松岡 亮二
刑罰刑罰感想
短編集。罪に対する罰が、時に意味をなさない。弁護士でもある作者の虚しさが胸に迫る十二編。極限まで省略した文章は散文詩のようで、描かれる内容の胸糞悪さが際立つ。…黄色いポストイットがトラウマになりそうだった。
読了日:09月18日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
七つ屋志のぶの宝石匣(9) (KC KISS)七つ屋志のぶの宝石匣(9) (KC KISS)
読了日:09月18日 著者:二ノ宮 知子
肖像彫刻家肖像彫刻家感想
中身空っぽのくせに技術と妙な芸術家プライドだけはある主人公。中途半端な田舎(山梨)コミュニティのいいとこ悪いとこ両方描いて、そんな主人公を弟に持つ姉のキャラクターがまたいい。姉が語る壮絶な介護体験が『最高峰』で、後妻を通じて人の尊厳に繋がる。地域を守る寺と檀家の関係。馬刺を供えるという胡散臭さと生臭さ。SNSの功罪。オカルトを信じる大衆と冷静に精神科受診を勧める娘。全て良質のエンターテイメントに仕上がってる!ああ面白い!
読了日:09月18日 著者:篠田 節子
だから殺せなかっただから殺せなかった感想
鮎哲賞受賞作。関東で発生した連続殺人事件の犯人(ワクチン)を名乗る人物から新聞記者、一本木透宛に手紙が届く。曰く、誌上記者と討論をしたい、できなければ次の殺人を実行すると。記者魂と新聞社の経営状況判断翻弄されながら、一本木記者は犯人であるワクチンと討論を重ねていく。…大手新聞社の誌上で記者と犯人が対決するという謎の提示がよい。社会派ミステリーとして新人とは思えないくらいしっかり面白かった。タイトルの意味に、唸った。作者は新聞社関係者だろうか?
読了日:09月18日 著者:一本木 透
進撃の巨人 コミック 1-29巻セット進撃の巨人 コミック 1-29巻セット感想
期間限定無料版  13巻まで既読
読了日:09月18日 著者: 
レイチェルが死んでから (ハヤカワ・ミステリ文庫)レイチェルが死んでから (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
姉の家を訪れたノーラが見たものは、惨殺された姉レイチェルと吊るされた愛犬だった。警察を信用できないノーラは自力で捜査を始める。十五年前に姉が受け、未解決の暴行事件と並行して。…ノーラの暴走ぶりにドン引き。ノーラの一人称は一種幻想小説のような赴きがあり、一時は解決しないんじゃないかと危ぶまれたが、事件はきちんと解明され読者にも提示されるので安心めされよ。正直、読了しても脳内にクエスチョンマークが飛び交うが、大矢博子氏の解説で色々腑に落ちた。そういや、名前はレイチェルだし、コーンウォールも出てくるし。
読了日:09月16日 著者:フリン ベリー
真夜中の太陽 (ハヤカワ・ミステリ)真夜中の太陽 (ハヤカワ・ミステリ)感想
ノルウェー北部の小さな街、フィンマルクにやってきた男。ウルフと名乗り、無人の狩猟小屋へ滞在する。野生のトナカイや未亡人のレアとその息子クヌートと触れあいながら自らの来し方行く末に悩むウルフ。やがて、追っ手が現れる。…全体に静謐で、だからこそ物語が動く時の音(鼾、鐘の音など)や光景(火が燃えるところ)などが際立つ。ウルフたち三人が鱈を食べるシーンの美しさ必読。窮地に陥ったウルフ自身の知恵と、状況が味方をして危機を脱するところの老人の話が長かったことが難点と言えばそれだが、年寄は話が長いものだし、
読了日:09月09日 著者:ジョー ネスボ
ジグソーパズル48ジグソーパズル48感想
私立曙女子高を舞台にした物語。小説というより文章で書かれたパズル。だから、ん?となる箇所は度々あるけれども、そこを指摘するのは野暮でしょう。各章の登場人物の名前、数字、日付等色々仕掛けはあるのでしょうが、検証好きな人にお任せします。どこかにアップしてくれたらうれしいです。
読了日:09月08日 著者:乾 くるみ
W県警の悲劇 (文芸書)W県警の悲劇 (文芸書)感想
架空のW県を舞台に、警察官の活躍(?)を描く連作短編集。…Wは和歌山かと思ったが一切関連なくwomanのWなのだろう。ブラックさが売りなのだと思うが捻り方が一周回って作者のどや顔が見えるようなのはちょっと、辟易。『blue』で期待するとかなり肩透かしかもしれない。短編集はあまり、向かないのでは…。長編に期待します。
読了日:09月08日 著者:葉真中 顕
わが母なるロージー (文春文庫)わが母なるロージー (文春文庫)感想
パリで爆破事件が発生し、容疑者の青年が出頭する。要求は殺人罪で拘束されている母と自分を国外に逃がしてもらえたら、残りの爆弾の在処を教える、と。捜査にあたったカミーユ警部は青年の要求に違和感を覚える。相棒のルイと共に青年と母の過去に迫るうち、恐ろしい事実が浮かび上がる。青年の本当の狙いは一体何か。…中編のため、分量的には物足りなさを感じるが、カミーユ警部の活躍ぶりは十分堪能できた。爆弾の脅威、国家の威信、マスコミ対策。カミーユは彼の勘に従って捜査を進めるが彼は孤独ではなく、傍らには優秀なルイが控えている。
読了日:09月08日 著者:ピエール ルメートル
さよならの言い方なんて知らない。 (新潮文庫nex)さよならの言い方なんて知らない。 (新潮文庫nex)感想
香屋歩と秋穂栞は高校生。もう一人、トーマと三人はあるマイナーなアニメファンとして強い結束があったが、トーマは中学生の時、謎のメッセージを残して失踪していた。ある日二人の元に謎の招待状が届く。警戒しながら行ってみると、謎のカエルと遭遇し、架見崎という街にいた。生き残るため、この世界にいるトーマと会うため香屋と秋穂は戦争に巻き込まれて行く。…思考実験。あと、フィクションと現実をいいように混ぜて一種メタ的な世界観。異世界ものと言っていいんだろうけど主人公、香屋の目的はかなり独特。序章というとこで続きが楽しみです
読了日:09月05日 著者:河野 裕
不見【みず】の月 博物館惑星2不見【みず】の月 博物館惑星2感想
博物館惑星ことアフロディーテを舞台に芸術と美と、人々を描くシリーズ。前作の主人公、孝弘はすっかり落ち着いて新人を指導する立場に。今回は新人の自警団員(警察のようなもの)兵藤健が主人公。学芸員でない彼は、叔父さんのことを抜きにすれば、フラットな気持ちで芸術と向き合っていて好感が持てる。ダイクとの掛け合いも楽しい。盲目のミュージカル評論家が登場する『お開きはまだ』が一番好き。やっぱり、エンターテイメントは楽しまなくちゃ!続編も楽しみなので、未収録の短編も併せて早いとこ刊行して欲しい。
読了日:09月01日 著者:菅 浩江
私のイサベル (ハヤカワ・ミステリ)私のイサベル (ハヤカワ・ミステリ)感想
カウンターのステラは、クライアントのイサベルが幼い頃行方不明になった娘のアリスではないかと感じ、職務を逸脱した行動をとる。そのことで周囲から信用を失い、精神的に不安定になり、孤立する。一方、イサベルは母との関係性に問題を抱えていた。やがて、母の異常性を自覚するようになり、ステラの周囲に危険が迫る…物語はシンプルだが、冗長に感じた。ステラはカウンセラーであるにも関わらず、話の持って行き方が下手すぎる。イサベルの写真ひとつで周囲は納得したのでは?
読了日:08月31日 著者:エリーサベト・ノウレベック
いつかの岸辺に跳ねていくいつかの岸辺に跳ねていく感想
護と徹子は幼馴染み。前半の護パートは、不器用だけれど誠実な徹子の側に護がいて、成人式で再会した二人が小さい奇跡を起こすお話。はてこの物語はどこへ着地するのか?と思いきや、後半の徹子パートでは、様相が一変。徹子がある能力を使ってたった一人で「悪魔」と闘い続ける。…のほほんとした前半に比べて後半は苦しく切ない。特殊能力で世界を革命しようとするのではなく、身近な人のために我が身を捨てて奔走する徹子がいじらしく、ラストは涙腺崩壊だった。親友を救えなかった罪悪感を抱える徹子に、お祖母様がかけた言葉が特に心に残った。
読了日:08月30日 著者:加納 朋子
指名手配 (創元推理文庫)指名手配 (創元推理文庫)感想
私立探偵コールは、ティーンエイジャーの息子をもつ母親から、息子が最近妙に金回りがいい。犯罪に加担しているなら逮捕より前に自首させたい、との依頼を受ける。息子は窃盗団の一味であることが判明したが、探偵に先んじて窃盗団の一味の命が狙われている。危機を伝えるも息子は仲間と逃亡。息子の命は守れるのか?…非常に良質のエンタテインメントで最初から最後まで面白く読めた。依頼内容はありきたりな心配性の母親のものかと思いきや、殺し屋の出現で急にきな臭くなる。依頼人とその息子は窃盗はともかく命を狙われる理由が分かっていない。
読了日:08月28日 著者:ロバート・クレイス
大奥 17 (ヤングアニマルコミックス)大奥 17 (ヤングアニマルコミックス)
読了日:08月28日 著者:よしながふみ
ケイトが恐れるすべて (創元推理文庫)ケイトが恐れるすべて (創元推理文庫)感想
ケイトは遠縁のコービンと住まいを交換することになり、ボストンで暮らし始める。居心地のよさそうな家に着き、安心した矢先、同じアパートの住人が殺されたことを知る。更に他の住人からコービンと被害者と親しい関係にあったと聞き、確認するが、彼は否定。一体、何が起きているのか?…暫くはケイト視点で物語が進むため、読者もケイトと一緒に不安な気持ちを味わう。物語の輪郭が見えてくるのはコービンパート。これはホラーではないが、種類の異なるホラー映画を楽しめたようでお得感があった。
読了日:08月27日 著者:ピーター・スワンソン
大衆酒場ワカオ ワカコ酒別店 1 (ゼノンコミックス)大衆酒場ワカオ ワカコ酒別店 1 (ゼノンコミックス)
読了日:08月27日 著者:新久千映,猫原ねんず
ヘルプマン!! 取材記 Vol.3ヘルプマン!! 取材記 Vol.3
読了日:08月24日 著者:くさか里樹
ヘルプマン!! 取材記 vol.2ヘルプマン!! 取材記 vol.2
読了日:08月24日 著者:くさか里樹
ヘルプマン!! 取材記 vol.1ヘルプマン!! 取材記 vol.1
読了日:08月24日 著者:くさか里樹
IQ (ハヤカワ・ミステリ文庫)IQ (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
アイゼイアは黒人の青年で職業(?)は探偵。通称IQ。謎の巨大犬に襲われて引きこもりになってしまった有名ミュージシャンの護衛の仕事を引き受ける。事件を調べるうち、IQと相棒のドッドソンの元にも同じ殺し屋が現れる…。IQ、新たなるシャーロックホームズ、らの愛称の割にはアイゼイアの「すごい」ところが見えてこない。大金が必要な理由も、交互に挟まる過去編によって徐々に明らかになるが、だとしてもアイゼイアの行動には謎が多いように見える。殊更、黒人や孤児であることを強調してお涙頂戴的にしないのはアリだとは思うけれども。
読了日:08月24日 著者:ジョー イデ
ワカコ酒 13 (ゼノンコミックス)ワカコ酒 13 (ゼノンコミックス)
読了日:08月24日 著者:新久千映
夢の迷い路夢の迷い路感想
エミール&ユッキーシリーズ第二弾。同級生の二人だがコンビを組んで現場に赴き探偵活動するのではなく関係者から話を聞いて推理を組み立てる。全4話各読み切り。会話だけで物語が進む。回想シーンはなく当時の関係者の心情も登場人物が想像するのみとなっている。そのため注意深く読まないと関係者相関図が???となり実際「ワイン」はメモを取った。「シナリオ」が作者らしい一種強引な展開とユッキーの叔父のキャラも併せてよかった。しかし一番驚いたのはあとがきで作者が断酒していることを知ったことかな…。
読了日:08月19日 著者:西澤 保彦
営繕かるかや怪異譚 その弐営繕かるかや怪異譚 その弐感想
怪異譚というより、怪談。「芙蓉忌」は隙間から女を覗き続ける男が、自覚しつつも抗えず、静かに狂気を募らせていく。余韻のあるラストも含め一番気に入った。「まつとし」「魂」は今市子の「百鬼夜行抄」で読みたい。「水の声」はやや説明的で怪談の趣には欠けるが最後の「まさくに」がまたよかった。父親の都合で田舎に引っ越したが、そのこと自体ではなく両親の不和で傷つく子ども。それゆえに「秘密基地」を希求する。祖母が好きなのは単純に甘えさせてれるだけではないという理由もいい。怪異を祖母と共有するのもまた面白かった。
読了日:08月16日 著者:小野 不由美
ツキノネツキノネ感想
動画配信で予言をする少女「ツキノネ」。熱狂的なファンのが素性を突き止め、彼女を監禁していた老夫婦を殺害してしまう。「ツキノネ」は「弥生」という名を与えられ児童養護施設へ行く。その施設職員の古河の婚約者でフリーライターをしている文乃はある絵の前で失神してしまう。作者の荒木はダム湖に沈んだかつての故郷を圧倒的に写実的な筆致で描く画家であり、その源は荒木の記憶のみであった。古河から「ツキノネ」の話を聞いた文乃は荒木が描く小階地区の地誌に同じ記述があることに気づく。かつて小階地区に何があったのか、ツキノネとは何か
読了日:08月14日 著者:乾緑郎
アンティミテ (ディアプラス文庫)アンティミテ (ディアプラス文庫)感想
画商の和楽と画家の群の恋。『ひつじの鍵』スピンオフだけれどもそんなことすっかり忘れていても楽しめた。末永く幸せになりそうな二人だし実際そうなのだろうけれど、群は画家として、和楽はその創作物に値段という価値をつける者としての葛藤も生じるだろう。ただ、お互いがお互いをよく知るだけにそのことも二人で力を合わせて乗り越えていけるような気がする。ずっと未来。美術館に飾られた群の作品を見る人は和楽を知らないかもしれないけれど、生涯売却されなかった「習作」シリーズが展示されて、そのモデルのことは有名になるかもしれない。
読了日:08月13日 著者:一穂 ミチ
文豪ストレイドッグス BEAST (角川ビーンズ文庫)文豪ストレイドッグス BEAST (角川ビーンズ文庫)感想
芥川が探偵社に、敦がポートマフィアに入社していたら?の世界。公式でやるだけあって単純に設定を入れ替えた二次創作ではなく、この物語自体が作中作というかメタ的扱いもされていて、そこがもう一つのキモになっている。とはいえ難しいことは何もなくていつもの探偵社、ポートマフィアの面々がおバカなことやってるオールスターギャグ本のノリ。本当に芥川が探偵社に入った方が毎日面白かったんじゃないかとか敦に大変失礼なことまで考えてしまった。メインは芥川vs敦再びだけれども、いつもは飄々としてる太宰のもう一つの顔も見どころ。
読了日:08月12日 著者:朝霧 カフカ
のっけから失礼しますのっけから失礼します
読了日:08月12日 著者:三浦 しをん
モディリアーニにお願い (4) (ビッグコミックス)モディリアーニにお願い (4) (ビッグコミックス)
読了日:08月12日 著者:相澤 いくえ
バッドビートバッドビート感想
ワタルとタカトは房総半島沖の名もなき島で生まれ育ったが、その場所は今、レイ・ランドという一大アミューズメントパークと化し、眠らない島と変貌した。島を飛び出し、伝手を頼りに東京でヤクザ者の下っ端となっていた二人だったが頼まれたお使い仕事で予期せぬトラブルに巻き込まれ、島の中を逃亡することになる。事件の真相は、彼らの運命や如何に!?…とにかくイキオイそのものの小説。漫画の原作なのか説明が圧倒的に足りないが疾風感の前にまぁいいかという気がしてくる。
読了日:08月08日 著者:呉 勝浩
文豪ストレイドッグス 太宰、中也、十五歳 (角川ビーンズ文庫)文豪ストレイドッグス 太宰、中也、十五歳 (角川ビーンズ文庫)感想
かつて相棒だった太宰と中也の過去の物語。…すみませんそんな設定すっかり忘れてました。太宰は昔から太宰だけど中也は色々あって今の(?)中也になったエピソードが描かれている。事件そのものは大きくないのであっさり解決する(この文庫の薄さを見ても一目瞭然だが)けれど、後の伏線がたんまり張られていて、また、次巻も予告されているので次が楽しみです。
読了日:08月06日 著者:朝霧 カフカ
ゴーストライター (創元推理文庫)ゴーストライター (創元推理文庫)感想
上演中の舞台の客席で、脚本家が喉を裂かれて殺された。捜査するマロリーと愉快な(?)仲間たち。第二の死体と謎のゴーストライター。一癖も二癖もある舞台関係者と交わされる腹の探り合い。過去の事件の鍵を握る保安官。蔓延する薬物と違法取引。捜査側も含めて登場人物全員のキャラが濃すぎて、お前ら全員まとめて犯人だろう!という気がしてくるが最後に真相は明かされる。ただ、何が起きたかという事実と真相は全く別物なのだという切なさを感じた。シリーズ物の宿命ではあるが、最初から最後までマロリーマロリーでやや食傷気味ではあった。
読了日:08月05日 著者:キャロル・オコンネル
銀魂―ぎんたま― 77 (ジャンプコミックス)銀魂―ぎんたま― 77 (ジャンプコミックス)感想
感覚的には150巻くらいのつもりだったがまだ77巻だった最終巻。本誌で終われず別媒体に拠点を移したり、それをネタにしたり特厚のコミックスを出したりしてたけどいい前例を作ったんじゃないかと想像。最終巻も「いつもの銀魂」だった。 最後の最後に本当の先生が現れて、愛弟子たちと再会できて、本当によかった。あの素敵な人たちを導いた先生に私もずっと会いたかった。 …さて、次の作品が発表されるまでは部屋中に散らばっている既刊を読み返すかな。
読了日:08月05日 著者:空知 英秋
ののはな通信ののはな通信感想
お嬢様学校の同級生、ののとはなが交わした書簡で構成された物語。外交官の娘でおおらかな性格のはなと、成績優秀だけれど家は貧乏で親とも分かり合えないリアリストののの。二人は寸暇を惜しんで手紙を書き、送る。けれど、何もかも分かり合えていたと思ったのは、錯覚だった。…予想していた展開は最初の100頁くらいで訪れてしまい、この先どうなるの?とどきどきしながら読んだ。どれだけの言葉を尽くしても、私はあなたにはなれない。その悲しさを背負いつつそれでも人は人と、言葉というツールを使って、触れ合う。
読了日:08月02日 著者:三浦 しをん
人ノ町 (新潮文庫nex)人ノ町 (新潮文庫nex)感想
旅人が、既に滅びた世界に残った町を旅していく。それぞれの町は「犬」「日」「風」等の特徴がある。…物語が進むにつれ、旅人の正体や目的、世界観が明かされていく。「ノ町」シリーズ化希望。この物語には大きな特徴があって、まず、旅人と町に名前が付いていないこと。町の名前はその特徴からそのように呼ばれているに過ぎない。新聞や手紙のようなものも登場しない。文字はあるのか?通信は?生殖はどうなっているのだろう?(子どもの描写があるからあるにはあるのか。学校らしきものもあった。失われたものを人は再び獲得するのか。
読了日:07月30日 著者:詠坂 雄二
君待秋ラは透きとおる君待秋ラは透きとおる感想
透明化という異能を持つ君待がスカウトされた組織は国家に属するものだった。成り行きで所属することになった君待は次第に異能に関する国家レベルの秘密を知っていく。ある日、そんな異能者の一人が亡くなった。全貌を把握できないまま君待は同僚の麻楠と一緒に葬式で警護をすることになる。…大いなる序章、と感じた。実際、ラストはそのように仄めかされている。君待が他の同僚たちと活躍する続編に期待。
読了日:07月30日 著者:詠坂 雄二
慟哭は聴こえない (デフ・ヴォイス)慟哭は聴こえない (デフ・ヴォイス)感想
大好きなシリーズの新刊。勿体なかったけど一気に読んでしまった。手話通訳士の荒井を巡る短編集。メインとなる物語と並行して4話通じて荒井自身の物語が紡がれる。1話目のラストで読者に衝撃を与え、最後には、全てが円満に解決とは言えないけれどもいい方向に向かっていく様子が見られて安心した。4つの物語のうち何森が主役の「静かな男」が印象的だった。何も言わず死んでいった名前も分からなかった男の届かなかった言葉を、TVスタッフの日吉、何森、荒井がその母親に届ける。彼らを突き動かしたものは正義感とか使命感ではない。
読了日:07月28日 著者:丸山 正樹
メタモルフォーゼの縁側(3) (単行本コミックス)メタモルフォーゼの縁側(3) (単行本コミックス)感想
(2から続き)うららは雪の心身の状態を彼女なりに理解し、気を遣えるところは遣える聡明な子。それでも理解の及ばないところはあるだろうし、何らかの家庭の事情があるうららに踏み込まない雪の姿勢もとてもいい。とはいえこれからうららは創作活動に足を突っ込んでいくわけでそうすると己の内面・外面に否応なしに向き合うことになっていく。そこに雪はどう絡んでいくのか。この二人の素敵な関係が永遠に続くことをつい願ってしまうが作者は容赦なく二人に「将来」を突き付けていく。私も雪が大好きな漫画家に送った言葉を作者に送りたい!
読了日:07月28日 著者:鶴谷 香央理
メタモルフォーゼの縁側(2) (単行本コミックス)メタモルフォーゼの縁側(2) (単行本コミックス)感想
(1から続き)覚えていられなかった自分への不甲斐なさ。予定を立てて遂行する達成感と挫折。一度は諦めようかと思ったけれど「わく わく わく わく」に突き動かされて、電車にまで乗ってしまう(予め電話で在庫確認して取り置き依頼するところ、雪さんやるな!と思った)。かといって敢えてうららのいる書店まで行くわけではないその距離感。もう一つは、単行本の刊行ペースを計算して自分があと何冊読めるか計算してしまう話もいい。これは若い頃には私も分からなかったことだけれど今では実感として感じる。(3へ続く)
読了日:07月28日 著者:鶴谷 香央理
メタモルフォーゼの縁側(1) (単行本コミックス)メタモルフォーゼの縁側(1) (単行本コミックス)感想
3巻一気読み。好奇心旺盛でアクティブな70代の雪さんとちょっと無気力な女子高生うららがBLを通じて友達になっていく。今のところBL全般ではなく作中作『君のことだけ見ていたい』が共通の萌え(と言っていいのか分からないが)。イベントに行ったりと活動的な二人だけれど、雪には老いが、うららには将来(具体的には受験)が立ちふさがる。しかし、そんなことで「好き」という気持ちは抑えられない。どのエピソードも大好きだが、特に印象的だったのは雪が雑誌の発売日に外出する話がよかった。すごく楽しみにしていたのに(2へ続く)
読了日:07月28日 著者:鶴谷 香央理
聖☆おにいさん(17) (モーニング KC)聖☆おにいさん(17) (モーニング KC)
読了日:07月26日 著者:中村 光
ポーの一族 ユニコーン (1) (フラワーコミックススペシャル)ポーの一族 ユニコーン (1) (フラワーコミックススペシャル)
読了日:07月24日 著者:萩尾 望都
ポーの一族 ~春の夢~ (フラワーコミックススペシャル)ポーの一族 ~春の夢~ (フラワーコミックススペシャル)
読了日:07月23日 著者:萩尾 望都
見返り検校見返り検校感想
杉山検校こと柘植定十郎の数奇な運命を描いた物語。…単行本一冊だが大河ドラマを1クール見たようなボリュームだった。藩の政治に翻弄され、追われる身となった定十郎。和一を殺したのは咄嗟のことだったが、そのことが死ぬまで付きまとう。ある面から見れば定十郎は寅吉に勝るとも劣らないクズだが和一を名乗り、いい師に巡りあったことで鍼灸医として救った命も多く後進の育成にも尽力した。あの時ああしていれば、と過去を悔いる場面も多いがその時は確かにそれが真実だった。人の運命の不思議さにため息しか出なかった。一気読みでした。
読了日:07月23日 著者:乾 緑郎
鳥肌が (PHP文芸文庫)鳥肌が (PHP文芸文庫)感想
穂村弘のエッセイはいつも面白くてはっとさせられる。この作品は装丁も凝っていて堪能した。挿画が不気味で、しかも挿画の裏に活字がないんです、この本。(挿画を切り取れるようになってると言えば分かりやすいかな?)それが何か不気味で、挿画の裏に、私が見えない活字が並んでいたらどうしようかと思った。…そんな本でした。
読了日:07月20日 著者:穂村 弘
ちはやふる(42) (BE LOVE KC)ちはやふる(42) (BE LOVE KC)
読了日:07月19日 著者:末次 由紀
凍てつく太陽凍てつく太陽感想
日崎八尋は特高警察官として職務を全うしていた。が、ある日、軍人の連続殺人を隠蔽したい憲兵の御子柴と、アイヌの混血である八尋のことが以前から気に入らなかった拷問王こと三影が手を組み、八尋を冤罪で投獄する。利用された形になった三影は同僚の能代と共に極秘に連続殺人の犯人を探す。一方、網走刑務所に投獄された八尋も真実を究明するために脱獄を企てる。…第二次大戦終戦間際の北海道(主に室蘭)を舞台に、様々な立場から戦争に翻弄された人々の物語。永春がいい奴すぎるし最後にすごくいいことを言ってくれた。
読了日:07月17日 著者:葉真中 顕
色悪作家と校正者の多情 (ディアプラス文庫)色悪作家と校正者の多情 (ディアプラス文庫)感想
大吾の過去に正祐が翻弄される話。大吾は変わらず人非人だがそれは正祐も一緒で、一緒にいたいなら、お互いに違う人間だから、言葉を、態度を尽くして分かり合おうと、歩み寄ろうとする二人の姿がただただ愛おしい。正祐の、恋人であると同時に愛読者であり校正者であるという立場の苦しさが本当に切なく胸に迫った。BLで女性が有機的に物語に絡むことはあまりないような気がするがこの作品は複数の女性なくしては成り立たないと思った。みんないい女でこんな女性になりたいなと憧れる。そして今回も人非人に囲まれて苦労だけを背負う篠田さん…。
読了日:07月16日 著者:菅野 彰
スウィングしなけりゃ意味がない (角川文庫)スウィングしなけりゃ意味がない (角川文庫)感想
第二次大戦中のドイツ。エディという、金持ちのぼんぼんが、やりたいことやって、大人からにらまれて、でもやりたいことやって、国からにらまれて、それでもやりたいことやる話。…解説にもあるが、読み始めて説明がないことに驚くが次第に慣れる。作者は書くにあたって資料など相当読み込んでいるのだろうけれど、読みながらそういったことは気にならなくなると言ったら失礼だろうか。私は徹底的にエンタテインメントの物語としてこの作品を楽しませてもらった。ところで登場人物の名前が三原順作品のと合致するのが多いのは偶然なのかなぁ?
読了日:07月16日 著者:佐藤 亜紀
たーたん (3) (フラワーコミックスアルファ)たーたん (3) (フラワーコミックスアルファ)
読了日:07月11日 著者:西 炯子
ブルーバード、ブルーバード (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)ブルーバード、ブルーバード (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
主人公は黒人のテキサスレンジャー、ダレン。彼は田舎町で起きた二つの殺人事件の捜査を依頼される。被害者は黒人男性と白人女性。彼らの間に繋がりはあるのか?地元の保安官は非協力的で、被害者が立ち寄った酒場では白人至上主義の非合法団体の一員と思われる店員から暴行を受ける。どこからも捜査することを歓迎されないダレンだったが、有力な容疑者を連行すると、彼は自白を始めたのだった。 最初は、ダレンが拘っているテキサスレンジャーとは何か?登場人物が増えると黒人と白人の区別がつかなくなるなど躓きもあったがスイート家の(続く)
読了日:07月10日 著者:アッティカ ロック,Attica Locke
帳簿の世界史 (文春文庫 S 22-1)帳簿の世界史 (文春文庫 S 22-1)感想
簿記3級、経理経験なしの私ですが読めました。会計(帳簿)という、三大欲求でも衣食住でもない概念(と言っていいのかな)がいかに歴史を動かしてきたか。印象に残ったのはp30「権力者に帳簿の公開を迫ったら報復されるだけだ」(ガブクル)p102「メディチ家の驕りがフィレンチェにとってどれほど高いものについたかを教えてくれるのは、古文書館に保管された帳簿だけである」p295「市民は「信頼できる情報」を提供されれば自ら納税をするようになり、さらには快く税金を払うようになる(中略)これは美しい夢であった。」
読了日:07月06日 著者:ジェイコブ・ソール
BLUE GIANT SUPREME (8) (ビッグコミックススペシャル)BLUE GIANT SUPREME (8) (ビッグコミックススペシャル)
読了日:06月30日 著者:石塚 真一
健康で文化的な最低限度の生活 (8) (ビッグコミックス)健康で文化的な最低限度の生活 (8) (ビッグコミックス)
読了日:06月30日 著者:柏木 ハルコ
金田一37歳の事件簿(4) (イブニングKC)金田一37歳の事件簿(4) (イブニングKC)
読了日:06月25日 著者:さとう ふみや
金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(6) (講談社コミックス)金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(6) (講談社コミックス)
読了日:06月25日 著者:船津 紳平
いまさら翼といわれても (角川文庫)いまさら翼といわれても (角川文庫)感想
摩耶花の『伝説の』がよかった。漫研の分裂に伴うトラブルと、応募した作品の評価と。個人的にも「こんなことしてる場合じゃない」と背中を押された気持ちだった。いい先輩がいてよかった。
読了日:06月22日 著者:米澤 穂信
ヒッキーヒッキーシェイク (ハヤカワ文庫JA)ヒッキーヒッキーシェイク (ハヤカワ文庫JA)感想
本読みはいつも、作品を手に取るきっかけを探している。ランキングだったり、書評だったり、口コミだったり色々だが、この作品を手に取った経緯はある意味複雑ではあったけれどもそれはこの作品自体には何の関係もない。面白かったし、読めてよかった。小説の面白さを久しぶりに味わえたと思った。私は、ローズマリーの正体はアレだと思ってるんだけど…どうかな?読み返したらまた変わるかもしれない。JJ他大人はみんなずるくて、カッコ悪くて、カッコいい。
読了日:06月11日 著者:津原 泰水
女警女警感想
女性の巡査が交番内で上官を射殺、その後自殺する。この事件を姫川監察官室長が探るうちに浮かび上がった驚愕の真相とは。…物語上必要とはいえ事件の真相は読者にもすぐに判明する。作者が描きたかったのは、警察という特殊な社会における女性の置かれた状況。組織自体が時代の変化と共に変わっている。組織を作るのは人である以上、人の意識も変わる。変化はよい方向にだけ訪れるわけではないしそれはとても緩やかだ。それに苛立ち、ショートカットをしようとしてはいけないと思う。効果が強い薬は副作用も同じように強いから。
読了日:06月02日 著者:古野 まほろ
陰陽少女 (講談社文庫)陰陽少女 (講談社文庫)感想
東京から松山に転校してきた女子高生あかね。自ら望んだ転校ではなく、鬱屈した気持ちを抱えるあかねだったが、陰陽師であり何故か警察にも顔が利く小諸ことコモと友人になる。あかねはコモの独特なペースに巻き込まれるうちに周囲と打ち解けていく。そんなある日、学校内で起きた生徒の転落事故に遭遇する。動揺するあかねの前でコモは陰陽道使いながら事件を解決に導く。…これを言うとまほたん全否定になってしまうが装飾音符が多すぎるしそれを取っ払ったらとてもシンプルなお話。
読了日:05月29日 著者:古野 まほろ
影 (小学館文庫)影 (小学館文庫)感想
物語は独居の老女が亡くなった家を福祉局の職員が片付ける場面から始まる。老女は長いことノーベル賞作家の家で家政婦をしていた。作家は今、脳梗塞を患い寝たきりの状態。その息子が講演活動を行っており、連絡を取る。この息子の物語と並行してある孤児の話が語られる。今は青年となった彼は脚本家として芽が出てきたところだった。自分の出自に悩む青年と作家の息子が出会った時、驚愕の真実が浮かび上がる。…北欧という土地柄かノーベル賞作家に対する世間の尊敬具合が半端なくそこを理解する必要はある。
読了日:05月27日 著者:カーリン アルヴテーゲン
パレードの明暗: 座間味くんの推理 (光文社文庫)パレードの明暗: 座間味くんの推理 (光文社文庫)感想
座間味くんシリーズ。とはいえ、これだけ読んでも大丈夫なようにできているし古参の読者には座間味くんの順調な人生が垣間見えて嬉しい。警察の偉い人から語られる真実とされている物語を民間人である座間味くんがひっくり返すというパターンで、いい人とされていた人が実は悪い企みを持っていたという場合もなくはないが座間味くんの場合、常に根底にあるのは人への優しい気持ちだと思うのだ。物語はともかく何気に夜食テロ物件なので、読むときは注意。
読了日:05月25日 著者:石持 浅海
BlueBlue感想
平成元年に生まれた少年、ブルー。無戸籍の彼は社会の中では透明人間として扱われる。ある意味唯一残した大きな痕跡はしかし、大きな権力で揉み消されてしまい、彼は再び光の届かない場所へ潜ってしまう。そして平成も晩年。限界集落化する多摩地方の団地の空き部屋で男女が殺害されていた。捜査線上に再びブルーの姿が現れる。被害者との接点を探るうちに恐ろしくも悲しい動機が浮かび上がる…。福祉の無力さを痛切に感じる。虐待を受けた子を必ずしも全て保護できない現状。インターネットを利用して、その隙間に売春組織や児ポが蔓延る。
読了日:05月18日 著者:葉真中 顕
おにぎり通信 1 ~ダメママ日記~ (愛蔵版コミックス)おにぎり通信 1 ~ダメママ日記~ (愛蔵版コミックス)
読了日:05月12日 著者:二ノ宮 知子
オスロ警察殺人捜査課特別班 フクロウの囁き (ディスカヴァー文庫)オスロ警察殺人捜査課特別班 フクロウの囁き (ディスカヴァー文庫)感想
敷き詰められた羽根の上に横えられた裸の少女。口には白いユリの花が押し込まれ、周囲には蝋燭が五芒星の形に並べられていた。オスロ警察殺人捜査課特別班のムンクとミアたちが捜査を続けるうち、ガブリエルの元相棒、ブラックハッカーのスカンクが、更におぞましい情報を知らせてきた。犯人は誰か、そしてその目的は何か。…アル中で薬中、エキセントリックな捜査官ミアだが今作は普通の人だと感じた。どちらかというとカリー捜査官の方がアル中とギャンブル中を併発しているようだが。
読了日:05月12日 著者:サムエル・ビョルク
鏡の背面鏡の背面感想
篤志家であった小野尚子こと「先生」が運営する寮に火災が起き、母子を庇って亡くなった。その折、火災で亡くなった「小野尚子」が全くの別人であったと知らされる。混乱するスタッフの優紀はライターの知佳と共に小野尚子を名乗っていた半田明美なる人物に迫っていく。…人が人を救うとは何なのか。皮肉にもそれは稀代の毒婦であった半田明美の手記の中に表れていた。最も印象的だったのは、冒頭の火災の場面。看護師の榊原の台詞。「そうはさせませんよ」とは何を意味しているのか。最後まで読んでこの台詞の意味を噛みしめて欲しい。
読了日:05月08日 著者:篠田 節子
地下道の少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)地下道の少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
舞台は1月のストックホルム。43人の子どもが路上に置き去りにされる事件が発生した。同時に、病院の地下通路で刺殺体が発見される。グレーンス警部たちは二つの事件の解決の鍵は「地下」にあることに気付く。…スウェーデン・モデルという言葉があるくらい福祉に手厚い国で、存在しているのにいないことになっている老若男女。エーヴェルトの解決方法は強引だが、警察官として、やるべきことをやったのだと思う。親、警察官、福祉に携わる者として、それぞれの立場の者が、役割を果たさなかった結果、生まれたのが地下道の人々だ。
読了日:05月05日 著者:アンデシュ ルースルンド,ベリエ ヘルストレム
ダンジョン飯 7巻 (ハルタコミックス)ダンジョン飯 7巻 (ハルタコミックス)
読了日:05月04日 著者:九井 諒子
文豪ストレイドッグス (17) (角川コミックス・エース)文豪ストレイドッグス (17) (角川コミックス・エース)
読了日:05月04日 著者:春河35
灰の月 下 (ビーボーイノベルズ)灰の月 下 (ビーボーイノベルズ)感想
全編を通して嘉藤の視点で物語は進む。そもそも『月に笑う』のスピンオフ作品ではあるが、惣一と井内の物語も読んでみたいと思った。惣一に狂った井内が悪いのか、狂わせた惣一が悪いのか、否か。この『砂の城』的ラストをハッピーエンドと思うかどうかは賛否あるだろう。二人が幸せなエンドを迎えるにはどうしたらよかったんだろう。惣一が女性に生まれればよかったのか。嘉藤が惣一の気持ちに応えていればよかったんだろうか。仮定を言っても仕方がない。人は半身を失っては生きていけないのだ。そうして二人は幸せに暮らしましたとさ…だといいな
読了日:05月01日 著者:木原 音瀬
灰の月 上 (ビーボーイノベルズ)灰の月 上 (ビーボーイノベルズ)感想
ヤクザの世界を舞台にどうしようもない性癖に支配される惣一と舎弟の嘉藤の愛を描く。この物語を読むと、本物の愛とか純愛って一体何?と思わずにいられない。嘉藤は惣一をどうしようもないクズの雌犬だと蔑むけれど、父亡き後跡目を継ぐべくカリスマ性を発揮し組を率いたことも事実。そのギャップに戸惑う嘉藤だけれど、そのどちらも惣一なのだ。男性だが性愛の対象は男性という風に生まれついたのは惣一のせいではない。自暴自棄になったこともあったけれど徹頭徹尾、嘉藤への愛を貫いた惣一は愛に殉教したのかもしれない。
読了日:05月01日 著者:木原 音瀬
きみの世界に、青が鳴る (新潮文庫nex)きみの世界に、青が鳴る (新潮文庫nex)感想
変な喩えだけど、ゲームのシナリオを試したような小説だと思った。本当は純粋に真辺と七草の関係性だけで語りたかったけれど二人だと物語が動かないから大地や堀が登場したんじゃないかな。もしかしたら階段島という舞台さえも二人のために用意されたような気がする。二人が一緒にいられるのは階段島しかなかった。そこに永遠にいることもできたけれど。真辺が信頼する七草はいつだって真辺を導く。切ないラストだけれど最初からこの結末は決まってたんだろう。だからって物語を追ったことが無意味になる訳じゃない。真辺と七草に出会えてよかった。
読了日:04月29日 著者:河野 裕
ラブ~キス2~ (ディアプラス文庫)ラブ~キス2~ (ディアプラス文庫)感想
再会した苑と明渡の物語ふたたび。前作は記憶喪失のことが物語のメインだったけれど、今回はそれはひと段落して二人のこれからの物語になってる。あまりに重く悲しかった前作よりは希望と未来が見える二人になって本当に良かった。明渡は変わらないけれど、苑は大きく変わった。それは、実留の未来を予感させる変化でもある。…というわけで続編は10年後大きくなった実留と苑が明渡を巡ってバトルする話でどうか。
読了日:04月24日 著者:一穂 ミチ
償いの雪が降る (創元推理文庫)償いの雪が降る (創元推理文庫)感想
大学生のジョーは大学の課題で伝記を執筆するため老人ホームへ赴く。そこには30年前に少女を殺した男、カールが死を待っていた。…あらすじから冤罪ものだろうと予想したしそれは合っているんだけど、演歌調の題名からは予想外に物語は明るくてジュブナイルのようだった。物語はジョーとカールのことだけでなく、ジョー自身の問題にも頁を割いていてそれがとてもいい。意外性は一つもないけれど色々あってみんながハッピーなエンディングは読む前の印象を180度覆したと言っても過言ではない。
読了日:04月23日 著者:アレン・エスケンス
白夜の警官 (小学館文庫)白夜の警官 (小学館文庫)感想
アイスランドの首都より更に北。シグルフィヨルズルの警察官アリ=ソウルシリーズ。今回は女性レポーターとアリ=ソウルが交互に物語を進める。事件と個人的なこと(自分が浮気したために去った彼女のことをストーキングする警察官アリ=ソウル)に優先順位がつけられていないのはどうなんだ。レポーターの過去と同僚の警官のオチはともかくそこに持っていくにはもう一押し決定打が必要だったのでは、悪徳医師のエピソード積んだ割には役割は大したことない等等ツッコミどころは多いが勢いで読める北欧ミステリなので入門編に是非。
読了日:04月20日 著者:ラグナル ヨナソン
サブマリン (講談社文庫)サブマリン (講談社文庫)感想
家裁調査官の武藤は、無免許で老人を轢き殺してしまった少年棚岡を担当することになる。調べるうち彼は幼い頃に両親と親友を交通事故で亡くしていることが分かった。彼の本当の動機とは、更生とは何か?…家裁調査官は刑事ではないので事件を解決することが目的ではない。だから、彼の過去を調査することに武藤は葛藤がある。けれど陣内さんが謎の行動力と人脈で武藤の迷いを晴らしてしまう。少年犯罪とは、更生とは、障害とは、と難しいテーマを扱っているんだけど感想書こうとすると陣内さんラブになってしまう。陣内さんいいよ陣内さん。
読了日:04月17日 著者:伊坂 幸太郎
悪しき狼 (創元推理文庫)悪しき狼 (創元推理文庫)感想
川で溺死した少女の遺体には虐待の痕があった。オリヴァーとピアは捜査を進めるが、肺から塩素水が検出され、二週間経っても身元も判明しない。さらに人気TVキャスターの殺人未遂事件も発生。彼女が追っていた事件とは何か。同窓会で再会したピアの同級生エマは夫の実家に身を寄せ、出産を控えているが、不可解な長女の問題行動に手を焼いていた。「先生」と呼ばれるホームレスは何を知っているのか。やがて、独国内外に影響する大きな犯罪組織が浮かび上がる。
読了日:04月16日 著者:ネレ・ノイハウス
百鬼夜行抄 27 (Nemuki+コミックス)百鬼夜行抄 27 (Nemuki+コミックス)
読了日:04月16日 著者:今 市子
鬼灯の冷徹(28) (モーニング KC)鬼灯の冷徹(28) (モーニング KC)
読了日:04月06日 著者:江口 夏実
きのう何食べた?(15) (モーニング KC)きのう何食べた?(15) (モーニング KC)
読了日:04月05日 著者:よしなが ふみ
はじめてのひと 4 (マーガレットコミックス)はじめてのひと 4 (マーガレットコミックス)
読了日:04月05日 著者:谷川 史子
名古屋駅西 喫茶ユトリロ 龍くんは美味しく食べる (ハルキ文庫)名古屋駅西 喫茶ユトリロ 龍くんは美味しく食べる (ハルキ文庫)感想
東京出身、大学生の龍は名古屋の祖父母の元に下宿している。そんな彼が名古屋めしを食べながら日常の謎を解くシリーズ第二弾。今回のヒロイン(?)はweb雑誌編集者の平野。取り上げる名古屋めしは実際に読んでのお楽しみとして、龍が美味しそうに名古屋めしを食べる描写は本当に魅力たっぷり。今回、彼は悩む。彼は魅力的な人物だけれど自分でその価値に気づいていないというか、迷いがある。迷いながらも芯はあって自分の足で歩いていこうという姿と家族を含めた周りの素敵な人々との交流が、名古屋めしに勝るとも劣らないこの作品の魅力。
読了日:04月02日 著者:太田忠司
三秒間の死角 下 (角川文庫)三秒間の死角 下 (角川文庫)感想
上巻は潜入捜査員パウラを執拗に描写が追う。元犯罪者ではあるが現在は警察のために動く。警察とのつながりを一切悟られないように組織の中で出世していき、大きなプロジェクトを任されるまでになった。しかし彼の中に喜びはない。彼が唯一心を動かされるのは愛する妻と子供たちだけ。この描写から来るべき未来が予測できて胸が締め付けられた。そして、予想通り、裏切り。下巻はパウラとその背景を追うエーヴェルトらが描かれる。この事件は何かがおかしいと感じ、直属の上司は慄く。けれど、パウラの方が一枚も二枚も上手だった。
読了日:04月01日 著者:アンデシュ・ルースルンド,ベリエ・ヘルストレム
三秒間の死角 上 (角川文庫)三秒間の死角 上 (角川文庫)感想
パウラはその存在を知る者はごくわずかな警察の潜入捜査員。ある日、薬物取引の現場で殺人事件が起きる。パウラは加害者ではないものの、事件の捜査が進めば関係者として事情聴取は避けられない。その時、刑務所の薬物取引を一網打尽にする計画が進んでいたこともあり、政府・警察の上層部の判断でパウラは潜入捜査を続けることになる。しかし、執念の刑事エーヴェルトがパウラの存在に気づき、刑務所内のパウラを切り捨てる行動に出た。「裏切者」として刑務所内で生き延びなければならないパウラが取った作戦とは。そして驚愕の真実とは。
読了日:04月01日 著者:アンデシュ・ルースルンド,ベリエ・ヘルストレム
金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(5) (講談社コミックス)金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿(5) (講談社コミックス)
読了日:03月20日 著者:船津 紳平
ちはやふる(41) (BE LOVE KC)ちはやふる(41) (BE LOVE KC)
読了日:03月20日 著者:末次 由紀
十五年目の復讐 (幻冬舎文庫)十五年目の復讐 (幻冬舎文庫)感想
そこそこ売れっ子のミステリ作家、西野冴子はジャーナリストの女に嵌められてある男を殺した罪で収監されてしまう。真実は何なのか?黒幕は誰なのか?…物語の方向性が最後まで掴めないままだった。第一話の主婦の話は分かりやすかったけれども、以降、名前を変えたり顔を変えたり本当は誰が誰で何なのか。最終章は憶測に次ぐ憶測で驚いている暇もなかったというのが正直なところ。頑張って最後まで読んでこういうオチにしたかったのかと得心したが初見の読者には記者の桑原って誰?ってなるだろうし、うーん。
読了日:03月18日 著者:浦賀 和宏
パズルゲーム☆サクシード 4 (白泉社レディースコミックス)パズルゲーム☆サクシード 4 (白泉社レディースコミックス)
読了日:03月13日 著者:野間美由紀
BLUE GIANT SUPREME (7) (ビッグコミックススペシャル)BLUE GIANT SUPREME (7) (ビッグコミックススペシャル)
読了日:03月13日 著者:石塚 真一
うどんの国の金色毛鞠 12 (BUNCH COMICS)うどんの国の金色毛鞠 12 (BUNCH COMICS)
読了日:03月13日 著者:篠丸のどか
それまでの明日それまでの明日感想
ある日、沢崎の元を男性が訪れ、女性の身辺調査を依頼する。依頼そのものに不審な点はなかったが調査対象が既に亡くなっていることがわかり、そのことを依頼人に伝えようと向かった勤務先で強盗事件に巻き込まれる。顔見知りの刑事や暴力団の幹部から事件に関与していることを疑われ、脅される沢崎。彼の目的は依頼人接触することだが、事件以降、行方不明となっていた。事件で知り合った青年実業家の海津と共に依頼人を探すうち、強盗事件と依頼内容の本当の目的を知ることとなる。…14年ぶりの新刊。また沢崎に会えるのが嬉しくて楽しみでした
読了日:03月13日 著者:原 りょう
愛なき世界 (単行本)愛なき世界 (単行本)感想
植物を専門とする研究職の本村の研究を、料理人の藤丸視点で描く。植物という企業も見向きもしない(失礼)地味な研究の世界に打ち込む本村を本村が数割増しで魅力的に読者に伝える。…読了しても、本村の研究内容が理解できたとは言い難いが、多くの人には理解されなくても、その対象を愛し、そこに打ち込む本村の姿勢には素直に共感できる。研究室や藤丸のキャラもすごくよいがいつもの三浦しをん節はかなり控えめなのが惜しい。しかしそこを全開にしてしまうと分量がかなり増えるだろうからこれでも抑えたんだろう。
読了日:03月09日 著者:三浦 しをん
魔眼の匣の殺人魔眼の匣の殺人感想
『屍人荘の殺人』に続く第二弾。比留子と葉村は屍人荘事件の黒幕「班目機関」について調べるうち、かつて研究機関があったという旧真雁地区にいるサキミという予言者の存在を知る。現地に向かうと、住人が誰もいない。ここ二日のうちに男女各2名ずつが亡くなるという予言のため、住民は避難していた。そこへ、目的を同じくする高校生たちやガス欠で立ち往生した者、元住人たちがかつての研究機関に揃う。橋が焼け落ち、陸の孤島と化した現場で一人、また一人と殺されていく。…こんなミステリ、読んだことない!
読了日:03月09日 著者:今村 昌弘
読んではいけない殺人事件 (実業之日本社文庫)読んではいけない殺人事件 (実業之日本社文庫)感想
人の心が読める「読心スマホ」の能力を持つ美鳥はある日、後輩の十萌からストーカー被害の相談を受ける。相手の瓜野課長へ直談判し、謝罪を受けたがうっかり心を読んでしまった美鳥は、彼が人を殺し山中に埋めたことを知る。看過できず無関係の目撃者を装い遺体を発見するが被害者と瓜野の接点が全くなかった。…「読心スマホ」の設定は面白いのに、ミステリとしてはいまいち。美鳥の行動がご都合主義すぎるしトリックもかなりアンフェア。ラストも取ってつけたようだし、こういう言い方は大変失礼だが西澤保彦に書いてほしかったな…。
読了日:03月06日 著者:椙本 孝思
ミステリなふたり あなたにお茶と音楽を (創元クライム・クラブ)ミステリなふたり あなたにお茶と音楽を (創元クライム・クラブ)感想
女刑事京堂景子は後輩の瞳から尊敬の念を抱かれていたが同時にそのクールビューティーさに恐れられてもいた。しかし彼女にはもう一つの顔があった。自宅に帰るとイラストレーターの夫新太郎の作る美味しいご飯を前に「デレ」と化す。新太郎のアームチェアディティクティブも楽しめる人気にシーズ最新刊。…内容は盛りだくさん。景子のツンデレぶりと、新太郎の作る食事とデザートの夜食テロ。事件の意外な真相と、全編を通したもう一つの物語。それらがほどよく絡み合って豪華な、そして決してくどくないフルコースのよう。デザート是非紅茶で。
読了日:03月05日 著者:太田 忠司
あなたはここで、息ができるの?あなたはここで、息ができるの?感想
物語は主人公の邏々が内臓撒き散らして死にかけているところから始まる。かと思えば邏々が大好きな彼、健吾の部屋でテレビを見ていると画面の向こうに宇宙人が現れて、世界の終わりを予告する。かと思えば邏々と健吾の出会いのシーン。そこにいきなり宇宙人が現れて、鳥山になれ、コボちゃんだ、とワケわかんないことを言う。…SFと言うと怒られそうだがこれは、邏々と健吾が出会って、そして別れるまでの壮大な物語。一体何が起きてるのか、最後はどうなるのか、全く予想が出来ずただただ邏々の語りに身を委ねるしかない。
読了日:03月04日 著者:竹宮 ゆゆこ
濱地健三郎の霊なる事件簿 (幽BOOKS)濱地健三郎の霊なる事件簿 (幽BOOKS)感想
ミステリーの巨匠、有栖川有栖が贈る怪談@ミステリー。「心霊探偵」濱地とその助手志摩が心霊が絡んだ事件を解決する連作短編集。怪談とミステリーのいいとこ取りをしたハイブリッド。ミステリーにはありえない強引な解決も心霊探偵の説得力に一役買っているように思われる。濱地のミステリアスさも加わってとてもいいバランス。怪談シリーズでは一番気に入りました。
読了日:03月03日 著者:有栖川 有栖
おひとり様物語(8) (ワイドKC)おひとり様物語(8) (ワイドKC)
読了日:03月02日 著者:谷川 史子
パズルゲーム☆プレステージ(3) (ボニータ・コミックス)パズルゲーム☆プレステージ(3) (ボニータ・コミックス)
読了日:03月02日 著者:野間美由紀
へたれ探偵 観察日記 たちあがれ、大仏 (幻冬舎文庫)へたれ探偵 観察日記 たちあがれ、大仏 (幻冬舎文庫)感想
へたれ探偵こと柔井公太郎が活躍するシリーズ第二弾。父の遺言である「大仏が立って歩く」の意味を調べると意外な真相が。第二話は大阪名物ビリケンさん。幻の初代を探しているという三人組が現れる。…今回は公太郎の能力が強調されて探偵らしくなった。アスペルガーっぽいけど特にそういう解説はない。結局、不知火がいないと成り立たない状況だけど公太郎一人でできることがもっと増えたらいいな。
読了日:03月01日 著者:椙本孝思,ill:usi
名古屋駅西 喫茶ユトリロ (ハルキ文庫)名古屋駅西 喫茶ユトリロ (ハルキ文庫)感想
名古屋駅近くの昔ながらの喫茶店ユトリロ。店内には名前の由来となっている一枚の絵画が飾られている。店主の孫である大学生の龍は進学を期に東京から名古屋にやってきた。ある日、喫茶店の常連客のトラブルをきっかけに麻衣と出会う。麻衣はたちどころに事件を解決する。のだが、いつも名古屋グルメのお店で名古屋蘊蓄と共に披露される。戸惑いつつ、彼女に惹かれる龍。そんなある日 ユトリロに最大のピンチが!…夜食テロ小説であるが登場するのは名古屋グルメなので旅テロでもある。名古屋蘊蓄の配分が押し付けがましくなくちょうどいい。
読了日:02月24日 著者:太田 忠司
小指物語 (幻冬舎文庫)小指物語 (幻冬舎文庫)感想
自殺をしようとビルの屋上に上ったミサキは小指と出会う。小指は自殺幇助の活動をしていた。ミサキは強引にその手伝いに駆り出される。そこで見た様々な形の「自殺」はミサキに生と死を強く考えさせ、いつしか小指を危険なものと捉え始める。姿を消したミサキを探す妹視点を交えながら自殺について徹底的に考えた小説。…身も蓋もないことを言ってしまうと中二病の脳内をそのまま垂れ流した小説。とはいえ第二章Kの自殺編は圧倒される迫力があった。芸大生の妻を持ち芸大ルポを書いた作者らしさが全面に出ていてよかった。
読了日:02月17日 著者:二宮 敦人
田嶋春にはなりたくない (新潮文庫nex)田嶋春にはなりたくない (新潮文庫nex)感想
私立大学を舞台に、徹底的にKYなタージこと田嶋春の活躍を描く連作短編集。物語として読むには面白いけど現実にいたらやだな、と思って読んだ。実際はこんな綺麗な物語にはならなくて、賢い大学生だとあからさまないじめはない分腫れ物に触るような扱いをされるだろう。批判してるんじゃなくてこの物語はこれでいい。誰もがタージのような生き方はできない。だから羨ましいのだ。私は今日も他人の顔色を伺いつつ言いたいことは納め、やりたくもないことをやりながら社会にちっぽけな居場所を確保することにエネルギーを使うんだろう。
読了日:02月15日 著者:白河 三兎
昨日がなければ明日もない昨日がなければ明日もない感想
杉村シリーズ最新作。ある日娘の夫から「妻は自殺未遂をして入院した。面会謝絶だ」と一方的に言われた母親。娘と連絡はつかず、心配で杉村に調査を依頼する。調査を進めるうち、娘の夫、知貴の学生時代の先輩高根沢の存在が浮かぶ。また、知貴の後輩が、妻の死亡後から行方不明になっていた。杉村の脅しが効いたのか、優美は自宅に戻り、依頼された調査は終了するが、杉村は悪い予感に導かれ、独自に調査を続ける…『絶対零度』。杉村の大家さんであるところの竹中ビッグマムから、知り合いの結婚式への同行を依頼される。
読了日:02月14日 著者:宮部 みゆき
へたれ探偵 観察日記 (幻冬舎文庫)へたれ探偵 観察日記 (幻冬舎文庫)感想
へたれ探偵こと公太郎と美貌の助手不知火コンビによる奈良ご当地ミステリー。公太郎のへたれはキャラ付けとしては面白いけど物語上の意味が感じられない。物語もミステリーとしては犯人や動機があからさますぎて面白味がない。この部分を融合して一捻りあったらもっと面白いと思う。京都と一括りにされていまいち地味な海なし県の魅力を発信して欲しい。
読了日:02月14日 著者:椙本 孝思
君がいない夜のごはん (文春文庫)君がいない夜のごはん (文春文庫)感想
安心して読めるホムラ節の食べ物エッセイ。解説で本上まなみが言っている通り夜食テロ物件ではないのでご安心を。共感できるかどうかは世代にもよると思う。人間の体は食べたものでできているという風に考えると穂村さんは菓子パンでできているんだなぁ。苺のヘタが取ってあったことに対する奥様の感想には全面的に同意します。穂村さんは愛されているのね。
読了日:02月13日 著者:穂村 弘
硬い爪、切り裂く指に明日硬い爪、切り裂く指に明日感想
平良は高校生。震災後造成された新興住宅地に父眞宙と暮らす。父子家庭でも眞宙は何不自由なく平良を育ててくれているが、眞宙が隠している平良の出生の秘密やどこに越しても月一度眞宙を訪ねてくる謎の男のこと、記憶にない左腕の火傷のことを眞宙には尋ねられないでいる。しかしそれらのことより平良が気になっているのは、眞宙が時おり見せる闇の深さだった。…こういう読み方はいけないのかもだけど、晴天シリーズの秀と勇太のあったかもしれないもう一つのの物語として読んだ。眞宙は社会不適合者で、それは彼自身のせいではないかもしれないが
読了日:02月12日 著者:菅野彰
銀魂―ぎんたま― 76 (ジャンプコミックス)銀魂―ぎんたま― 76 (ジャンプコミックス)
読了日:02月12日 著者:空知 英秋
銀魂 ― ぎんたま ― 75 (ジャンプコミックス)銀魂 ― ぎんたま ― 75 (ジャンプコミックス)
読了日:02月12日 著者:空知 英秋
文豪ストレイドッグス (16) (角川コミックス・エース)文豪ストレイドッグス (16) (角川コミックス・エース)
読了日:02月12日 著者:春河35
テラフォーマーズ 通常版 22 (ヤングジャンプコミックス)テラフォーマーズ 通常版 22 (ヤングジャンプコミックス)
読了日:02月12日 著者:橘 賢一
BLUE GIANT SUPREME (6) (ビッグコミックススペシャル)BLUE GIANT SUPREME (6) (ビッグコミックススペシャル)
読了日:02月12日 著者:石塚 真一
タイムマシンでは、行けない明日タイムマシンでは、行けない明日感想
『タイムマシン』シリーズ第二弾。シリーズ化は珍しいが前作を未読でも大丈夫。高校生の丹羽は同級生の長谷川さんに淡い恋心を抱いていた。意を決してデートに誘い、待ち合わせした丹羽の目の前で長谷川さんは交通事故で亡くなってしまう。丹羽は大きな喪失感を抱えながらタイムマシンの研究に没頭する。ある日、研究室の魚住がタイムマシンがあることを教えてくれる。丹羽は迷わず過去に行き、事故を食い止める。が、長谷川さんの代わりに死んだのは丹羽の方だった。未来に帰れなくなった丹羽は井神教授を頼り、別の名前で生活を続ける。
読了日:02月10日 著者:畑野 智美
グラスバードは還らないグラスバードは還らない感想
残念な美貌の女刑事マリアと冷静沈着なその部下レンのコンビが活躍するシリーズ第三弾。不動産王のサンドフォードが希少動植物密売に携わっているとの情報を得た二人は上司命令を無視して居所の高層ビルへ向かうが、セキュリティは鉄壁。コンタクトを試みる二人だが、件のビルで爆発事件が起こり、マリアが非常階段に閉じ込められてしまう。一方、不動産王の部下たちがパーティに招待され、気が付くと病衣のようなものを着せられ、見たことのない部屋に閉じ込められていた。…3冊目にしてシリーズの方向性が見えてきて前の2冊より読みやすかった。
読了日:02月07日 著者:市川 憂人
シャルロットの憂鬱シャルロットの憂鬱感想
ある日、浩輔、真澄夫婦の元にやってきたシャルロット。大型犬は苦手に感じていた真澄だが、次第にシャルロットの賢さ(元警察犬)ずるさ、キュートさにメロメロになっていく。夫と共に、甘やかすだけじゃなくて、時には辛い飼い主としての義務もきちんと果たす。シャルロットを通じて出会った人々との心温まる連作短編集。…犬と言えば近藤史恵。だけあって犬への愛情、飼うことの難しさ、愛するが故に、甘やかすだけでなく、人間と犬という異なる種族が一緒に暮らしていく(そして多くは犬が人間の都合に合わせられる)
読了日:02月06日 著者:近藤 史恵
みんなの秘密みんなの秘密感想
中学二年生の美羽と紗弥と奈々。新興住宅地に住む美羽と紗弥と商店街で中華屋を営む奈々。住んでいる場所や親たちの噂話で家庭の事情はある程度見えてしまう。クラスの村瀬君はいじめられているけれど美羽も含め皆見ないふりをしている。ある日、クラスメイトの愛菜から誘われて有頂天になったものの、それは、万引きの誘いだった。…畑野智美はすごい。中学生の刺激と平穏を同時に求める矛盾と倫理観の欠如を大人の批判の視点を一切含まず淡々と描いていく。それはちょっと背筋がぞっとするくらい。
読了日:02月05日 著者:畑野 智美
お前の彼女は二階で茹で死にお前の彼女は二階で茹で死に感想
ミミズ人間、トカゲ男、ベトベト病等々の設定が、物語に一切無関係とは言わないが、そこま必要とは思えないところがすごい。しかしそこはウルトラマンの怪獣がなぜあのような形をしているのかという議論をするくらいばかばかしい話になってしまう。これは、つまらない人間がつまらない人間にあっけなく殺される話。昔某ミステリ作家が、ミステリ小説は死への祝宴であるというようなことを言ったと記憶しているがこれはその正反対。無意味な惨殺、動機ですら最後に否定される。誰も、彼も、生きている意味なんかなくて、あっけなく殺される。
読了日:02月05日 著者:白井 智之
開化鐵道探偵 第一〇二列車の謎 (ミステリ・フロンティア)開化鐵道探偵 第一〇二列車の謎 (ミステリ・フロンティア)感想
時は明治18年。大宮駅で貨物列車に脱線事故が起き、積み荷の生糸の中から千両箱が発見された。事件の調査を依頼された草壁と小野寺コンビは生糸の町、高崎へ出向く。…鉄道ものというよりは明治維新ものの感強し。…面白いし興味深いんだけど、情報の提示が下手でストーリーをいまいち追えない。私の読解力の問題だとは思うんだけど…。碓氷峠に鉄道を通した努力とその後の悲劇(とあえて言う)。東京大阪間は結局東海道を通ることになり、御殿場線の悲劇も併せて興味深いので続刊があればそこんとこ読みたいです。
読了日:02月04日 著者:山本 巧次
次男のはじめての痴話喧嘩: 毎日晴天!16 (キャラ文庫)次男のはじめての痴話喧嘩: 毎日晴天!16 (キャラ文庫)感想
珍しく明信が大河に隠し事をしていて、打ち明けることになった。心細いからと乞われ、帯同した龍だったが思わずその場で明信を怒鳴ってしまう。それから、すれ違いが続く二人。…明ちゃん回はいつも号泣。今読み返してまた落涙。相手の気持ちを察して先回りして自分の気持ちすら整えてしまう明信にそれを気付かせたのはなんと真弓だった。真弓は明信から何かをずっと搾取していたんじゃないかと思ってる。でも、真弓がそのように育ったからこそ今、明信を救えたんじゃないかな、と思う。そして志麻は姿こそ見せないが全て見てるんじゃないか…?
読了日:02月04日 著者:菅野 彰
冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ミステリ文庫)冬の灯台が語るとき (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
舞台はスウェーデン南東部のエーランド島。古い屋敷に転居したヨアキム一家だが妻のカロリンが崖から転落し亡くなる。娘のリヴィアは夜毎会いに来るのは誰か?また、ヨアキム自身も屋敷にまつわる死者の気配を濃厚に感じる。ヨアキムの物語と交差して、新任警察官のティルダが大叔父で元船乗りのイェルロフから島の昔の話を聞く。もう一つ、島の若者ヘンリクの元にセレリウス兄弟と名乗る二人の男が訪ね、別荘の空き巣を誘いかける。3つの物語が交差した時、悲劇は起こる。
読了日:02月01日 著者:ヨハン テオリン,Johan Theorin
声も出せずに死んだんだ (角川文庫)声も出せずに死んだんだ (角川文庫)感想
チヒロは殺された二次元のヒロイン「レオナ」の復活を計画。そもそも二次元のヒロインが「殺された」とはどういうことか。計画に強引に付き合わせた星来との行動の真意は何か。…星来が探偵で、チヒロの真意を推理するところからミステリらしさが出てきたが、いまいちなのは謎がぶれちゃってるからかな。色々な要素を詰め込みすぎたのかも。星来のエピソードは不用。肝心のチヒロ自身の絶望をもっと実感させてほしかった。
読了日:01月25日 著者:長谷川 也
色悪作家と校正者の純潔 (ディアプラス文庫)色悪作家と校正者の純潔 (ディアプラス文庫)感想
大吾にライバル登場ふたたび。ライバルはともかく正祐が大吾に誘われていつの間にか書物の世界から人の世界へ入っていたことに、大吾も気付いていなくて。今回の爺(精神年齢が)はそこを突いてきた。あと、正祐が愛してやまない大吾の小説の登場人物は正祐にとってはそれが二次元とか関係なくて。その創造主である大吾を愛してしまったことに複雑な思いがあるんだなぁと。正祐をコドモと断じるのは簡単だけど、ずっと書物の世界にいられたら、それが理想だと夢想したことは私にもある。今回のライバルは手強いようで、続編も楽しみです。
読了日:01月21日 著者:菅野 彰
晴れた日の森に死す (創元推理文庫)晴れた日の森に死す (創元推理文庫)感想
森の中の家で老婆が殺され、現場近くで精神病院入院中の青年エリケが目撃されていた。彼を追う警察は、逃走中の銀行強盗がエリケを人質にとっていることを知る。エリケは犯人なのか?…あらすじから想像される物語がなかなか始動しなくて???と思いながら読み進めた。奇妙な逃走劇は喜劇的で、いつの間にか私も真相を知りたいというよりエリケと必死にコミュニケーションを図ろうとするモルガンを応援していた。もしやこれはミステリではないのか?と思った辺りから、あっさりと真相が暴かれる。この物語の主人公は森でありエリケであったのかも。
読了日:01月20日 著者:カーリン・フォッスム
メロウレイン~ふったらどしゃぶり~メロウレイン~ふったらどしゃぶり~感想
「ふったらどしゃぶり」シリーズの同人誌等総集編。一顕と整の出逢いからして肉体関係を抜きには語れないこともあり、作者の別のシリーズと比べてそういうシーンは多い。私は必ずしもそういうシーンはなくてもいいかと思ってるんだけど、これを読むと、やっぱり必要かなって思う。心と体が一体になったときの悦びは何者にも替えがたい幸福なのだろうと思わせてくれる。旭テレビシリーズはカップルの双方が他の人間関係の中で揉まれて成長していくけれど、このシリーズはいい意味で過去が現在に大きく絡むことなく閉じた関係でいられるところがいい。
読了日:01月17日 著者:一穂 ミチ
ふさいで~イエスかノーか半分か番外篇 3~ (ディアプラス文庫)ふさいで~イエスかノーか半分か番外篇 3~ (ディアプラス文庫)感想
設楽×栄。なっちゃんの上司として鮮烈な印象を残した栄がこのまま脇役として終わるわけないと思っていたら、満を持して再登場。設楽と栄(元記者!)の若い頃のやるせないエピソードから十数年後、心血注いだ番組が終わったある日、設楽から栄にSOSが入る。ストで極端にスタッフの足りない旭テレビの看板ニュース番組を回すことに。…そして、例の辞令!ああ次の巻が楽しみです‼
読了日:01月14日 著者:一穂 ミチ
竜頭町三丁目まだ四年目の夏祭り: 毎日晴天!外伝 (文芸書)竜頭町三丁目まだ四年目の夏祭り: 毎日晴天!外伝 (文芸書)感想
夏祭りを前に浮足立つ竜頭町の人々。帯方家では真弓が考え込んでいた。女官は数年前に降りたものの山車を引いたことはない。今年はどうしよう?と悩むうち、勇太の様子がいつもと違う気がして…。…血縁でもない他人と気持ちを分け合うことの大切さと難しさをこのシリーズを読む度に思い出す。相手がいつも本当は自分のために無理をしていたんじゃないかと思うと、怖い。と同時に自分がどうしたいかより相手がどうしてほしいかを優先したい。自分で決めないということを決めている明信。勇太と真弓も、多くの人々との関係性の中で成り立っている。
読了日:01月14日 著者:菅野 彰
薬物依存症 (ちくま新書)薬物依存症 (ちくま新書)感想
ちくま新書「ケアを考える」シリーズ。薬物依存について我々が抱いている偏見、依存症に至る過程、治療の方法等について素人にも分かりやすく解説してくれている一冊。一応福祉に携わる私でも薬物依存症患者に対する偏見があったなぁと自己覚知させられた。著者の松本先生は依存症患者に刑罰を与えることは反対の立場だが私は必ずしもそれに賛成はできない…。とはいえ考えなければいけない問題ではある。薬物依存に関心のある人もない人も是非手に取って欲しい一冊です。
読了日:01月13日 著者:松本 俊彦
格差社会を生き抜く読書 シリーズ ケアを考える (ちくま新書)格差社会を生き抜く読書 シリーズ ケアを考える (ちくま新書)感想
売れやすい題名を付けたのでしょうか。内容は福祉、特に児童問題の現状、歴史、諸外国との比較と参考文献のブックガイドである程度福祉に携わる人向きに感じた。
読了日:01月13日 著者:佐藤 優,池上 和子
異世界居酒屋「のぶ」五杯目 (宝島社文庫)異世界居酒屋「のぶ」五杯目 (宝島社文庫)感想
相変わらずの飯テロシリーズも第5弾。ノブが異世界で開店したことを現地の人達が追究しないゆるい空気がいい。とはいえ時は確実に流れていて、ベルトホルトは育メンだしハンスの実家の商売も修行も順調な様子。…毎日美食って訳にはいかないけど美味しいものを食べることで明日の活力が沸く。その営みは、老若男女身分の上下を問わない。そんな美味しいものを作ってくれる料理人に敬礼!
読了日:01月12日 著者:蝉川 夏哉
無事に返してほしければ無事に返してほしければ感想
題名通り、誘拐事件の物語。2年前に水難事故で亡くなった啓太を預かっていると電話が入る。啓太の生存を確信する母令子と半信半疑の父。警察に通報し、待機しているうちに姉の亜乃まで自宅から連れ出された。身代金を用意し犯人の指示に従う父だが…。 後半は幼い頃誘拐されて育てられた明人。ある日、父が誘拐され、男女の捜査員2名が自宅へ来る。不安な日々を過ごす明人に捜査員は何くれとなくフォローをする。ある日、別の刑事が来訪し、父が発見されたことを告げられる。
読了日:01月12日 著者:白河 三兎
炎の色 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)炎の色 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
壮大な復讐譚だけれども、酷い悪人は誰もいない。マドレーヌも復讐のために手段を選ばない。殺伐とした物語に潤いをもたらすのがポール。彼の素直さと賢さとポーランド人の看護師とのやりとりが救いだけれども、ここにも第二次大戦に向かおうとするヨーロッパの暗い影が忍び寄る。愛と、お金と、社会的地位と。全てを得るか、全てを失うかのゼロサムゲームで最後に微笑むのは誰か?
読了日:01月04日 著者:ピエール ルメートル,Pierre Lemaitre
炎の色 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)炎の色 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
物語は実業家の葬儀から始まる。葬式に立ち会う人々の思惑が描かれつつ粛々と進む儀式の最中、孫のポールが屋敷の3階から転落し個人の棺が血の色に染まる。それは、ポールの母であり個人の娘、マドレーヌの復讐劇の幕開けでもあった。…『監禁面接』ではリストラされたサラリーマンの起死回生の物語をある種ユーモラスに描いたルメートルだが、今回は『モンテ・クリスト伯』を思わせる復讐譚。マドレーヌは最初の結婚に失敗し、息子の家庭教師を相手に初めて愛を知る。
読了日:01月04日 著者:ピエール ルメートル,Pierre Lemaitre
初恋の世界 (5) (フラワーコミックスアルファ)初恋の世界 (5) (フラワーコミックスアルファ)
読了日:01月02日 著者:西 炯子
青春鉄道 2019年度版 (MFコミックス ジーンシリーズ)青春鉄道 2019年度版 (MFコミックス ジーンシリーズ)
読了日:01月02日 著者:青春
聖☆おにいさん(16) (モーニング KC)聖☆おにいさん(16) (モーニング KC)
読了日:01月02日 著者:中村 光

読書メーター