読書

kasuri2004-10-25

写真の本、読了。これじゃ何だか分かりません。答えは↓。カバーがぬれたままテーブルに置いたらこのありさま・・・。
それはともかく、面白かった。巻末に取り上げたテキストの一覧が載っている。私は殆どを未読だったが、それでも楽しめた。数少ない既読のテキストについても斎藤美奈子にかかると全く違う印象となって現れるのでこの際既読/未読はどうでもいいと思う。
「文芸評論」なんて難しそう。あまり純文は読んでないし。と心配する必要はない。扱っているテキストの硬度軟度にかかわらず、著者はそれらを「妊娠小説」という観点で調理し直している。文章は読みやすく適度に笑いもある。分析の仕方も、野球や料理に例えられていて感覚的にとても分かりやすい。
最近ブームの純愛モノ二つ。「冬ソナ」と「セカチュウ」私はどちらも概略を知るのみだが両方とも「不治の病」が出てくる(らしい)。誰かこれを踏まえて「死」小説論を展開してくれないかな。「死」も「妊娠小説論」における方程式をそのまま応用できる気がする。「死」と「妊娠」。これに「恋愛」を混ぜて振れば誰でも作れる昼の奥様ドラマ。それはともかく、対立する二つの観念、「生/死」を意味する「妊娠」と「死」が手垢のついた小説(などの物語)の題材という印象を私たちに与えているのが、なんとも不思議。
妊娠小説 (ちくま文庫)