上海旅行記

ライチ

川原由美子の『観用少女(プランツ・ドール) (1) (ソノラマコミック文庫)』(文庫版)に『ポプリ・ドール』という話が収録されています。出張でアジア圏の国に来た西洋人の男性が街の「臭い」に苦しむお話です。物語の冒頭、男性が「この独特の生臭い悪臭」と言っています。『観用少女』の舞台は恐らく香港と思われますが、上海も独特の「匂い」がありました。男性の言う「生臭い悪臭」は外れてもいません。まず、水が臭かったです。水道水をそのまま飲むことはできません。そしてその水の匂いが街に漂っていました。
ある夜、どうしてもライチが食べたくなった私たちは、街の果物屋へ行きました。そこは観光客相手の店ではなく、地元の、普通の商店です。夜の8時か9時頃だったでしょうか。街は独特の臭いがありました。店の前に水が撒かれていて、そこから腐臭のような臭いがしました。店には兄弟と思われる二人の少年が店番をしていて、私たちはライチを買い求めることができました。
水道水が、飲用できるほど綺麗でないのは、長江を見て分かりました。黄浦江は長江の支流なのですが、海に近く潮が上がってくるのか、海辺のような磯臭さを感じました。日本にもありますが、大きなタンクで水を売る人を見かけました。あまり、綺麗な格好をしていない男性が自転車にタンクを積んで走っているのですが、その水は信用できるのだろうか?と思ってしまいまいした。
上海の臭いは、帰国してからも、服に残っていました。日本にも、そういう臭いがあるんでしょうか?