読書

遥かなる星の流れに 下―デルフィニア戦記〈18〉 (C・NOVELSファンタジア)茅田砂胡
デル戦読了。
キャラクターと世界観の設定書、という印象。戦記だけれど政治的なことは二の次でキャラが世界の中でどのように動いているか、ということに筆が多く裂かれていた。だから18巻あるけれど、ストーリーの展開は、とても緩やかに感じる。物語だけを進めようと思えば4巻程度で済むだろう。この場合の物語とは、主人公をウォルにした場合。けれどこの物語の本当の主人公はリィ。根底には「異邦人」という、なるしまゆりの『少年魔法士 (1) (ウィングス・コミックス)』と共通するテーマがある。普通の人の中に異端者が紛れ込んだ場合の、周囲の反応と異端者自身の苦悩の物語である。デル戦の場合、異端者は去って、物語は終わった。ウォルか、リィか、どちらに肩入れするかは読者の自由だけれど、ウォル側を中心に物語を追ってしまうと、最後は中途半端に感じるかもしれません。