ヘリオテロリズム特別号の感想

1と同様、大したこと書きませんよ。

  • 「蔓」作者はホラーを書きたい、と過程して話を進める。蔓や蔦などの植物に対する生理的嫌悪感を短い枚数でよく表していると思う。とても映像的ではあるがこれはこの作者の特徴なのだろう。ただ、これがノベライズではなく小説であるなら、主人公が恐がってはいけないと思う。補足。地の文で「恐ろしかった」と言ってはいけない気がする。そうするとそこで何となく読者は納得してしまって、恐怖を自分のものとして捉えられない。ホラー映像を見ているような描写だと私は恐いと感じることができなかった。
  • 「耳」これは楽しく読ませていただきました。つっこみどころは沢山ありますが。妙に台詞が説明的だったりね。目指したのは「しゃべくり探偵」ですか?強引なんだけど何故か読ませる、魅力ある作品でした。
  • 「リピート」これを真っ先に読みました。書き出し、「松岡さん、ここだけの話なんですけど」・・・きた!面白そうな予感。予感は現実になりました。ご近所の噂話し好きおばちゃんの話をいつも聞かされる青年。枚数に制限があり、その描写はごく短いのだが一瞬でそれを普遍的なものに・・・読者の心の中に像を結ばせることができるのはすごい筆力だと思う。枚数が短いので物語の展開は多少強引だが、それでも丁寧に読んで欲しい。丁寧に、ひっぱって読んだ分、最後の展開とタイトルの意味をよる深く味わうことができるでしょう。
  • 「壁の向こう」SF?ファンタジー?になるのかな。不思議なお話。うーん、多分何かしらの象徴というか意味があるんだと思うのですがすみません、私には分かりませんでした。短いアニメーションのような印象。
  • 「メタ探偵の助手」この枚数にしてよく物語を書き込んであると思う。キャラクター造成と物語の展開に無駄がない。上遠野浩平の雰囲気を感じた。上手な作家が書いたラノベの短篇を読んでいるような気がした。
  • 「20には帰れない」原稿用紙20枚という指定がある同人誌に対するオマージュ作品?ミステリとしては強引すぎるし、キャラクターも微妙にお涼を感じさせる。けれど作中の台詞としての「20には帰れない」という言葉はえも言われない魅力を感じる。とっくに二十歳を過ぎてしまった人間の郷愁だろうか?
  • 「平成元年のバスケットボール」すみません。参考文献のうち三島の『仮面の告白』しか読んでいないので全く、分かりませんでした。
  • 「未来のあなたを許してあげて」この話は、ベタベタなのかもしれないけど、でも好きです。遠藤周作とテーマが似ているだろうか。邂逅も記憶も一瞬のことで、二度と会わない、思い出せないかもしれないこと。けれど、出会いや記憶は無駄なことではないんだと思うしそれを信じたい。
  • 「百億の秋に、千億の愛を」すみません。維新を読んでいないので理解できませんでした。
  • 「輪唱ラヴソング」これは目次に掲載がないんですね?こんなに短いのに読んでいて気持ちよく物語りの中に入っていける。文章がとてもいい。でも短すぎるので、えと、オンラインで読めるんでしたっけ?続きが気になります!