最近、河野裕子さんという歌人が気になり始めました。今年の夏頃、俳人の坪内稔典さんが岩波の『図書』に書いている「柿への旅」を読んで、そそこで知りました。河野裕子さんは歌人として有名な方ですが私は恥ずかしながらそれまではちっとも知りませんでした。この「柿への旅」という文章の中に挙げられている歌を知って初めて、河野裕子という歌人を知ったのです。
それ以来、歌集を買おうかどうしようか、迷っておりました。幸いにというべきか、歌人として有名でも歌集はそんじょそこらの書店に置いてあるものでもないので、手に取る機会もないまま、日々過ぎておりました。
コラムの中の歌で、私が特に気に入ったのは
わたくしは真つ直ぐ立つて此処にゐる風がなくともそよいだりして
です。『母系』という歌集に収められているそうです。
この最後の7,7の「風がなくともそよいだりして」がなんだかとても心に響きました。
で、表題の何が偶然かというと、私はずっと谷川史子さんという漫画家が好きなんですが、その、谷川史子さんの単行本に『積極 愛のうた』という作品があります。これは、下の短歌をモチーフにした作品です。
青林檎与えしことを唯一の積極として別れ来にけり
この作品は2006年に刊行されていて、発売すぐ読んだ記憶がありますが、歌は特に、気に留めていませんでした。
ところが、この歌も河野裕子さんの作品だったんです。
…というまぁ非常に個人的な話ですけれども、私の好きなもの同士がシンクロしたというか、同じものに心を震わせていたと知るとなんだかとても嬉しかったので珍しく連投などしてみました。
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