初浅暮先生作品。
著作の数が多く、どれから読んだらいいか分からなかったので「猫好きならこれを読め!」のアドバイス(MYSCONでいただきました。ありがとうございました)に従って、読んでみました。
猫かわええ・・・・(ぽわーん)
可愛いって言っても、猫の写真に出てくるようなモデル猫の可愛らしさではなく、猫の狡さとか、嘘とか、困ったところとか全て含めて、かわいい。
文庫のあらすじには「青春小説」と書かれているけど、エッセーのようでもあり、けれど、猫がもたらす様々な事件は、本当のことのようにも思えず、やはり小説なのかしらと思ったりする。ジャンルの落ち着かなさはあるけどこれってそのまま「猫」かしら。抱こうとするとそのやわらかいからだをひねってすっと、逃げてしまう感じ。
笑うところ、苦笑するところ、おいおい、それはいくらなんでも嘘だろう?と思ってしまうところがある。本当のことが書かれているのかもしれないけれど、猫との生活は、妙にリアリティがなくて、やはり小説を読んでいるような気がしてくる。
主人公は猫の気持ちを想像する。あぁ、いかにも猫の考えそうなことだなと思うのだけれど、所詮猫は猫。私たち人間の想像を遥かに超えたことを、彼らは考えているに違いない。だから主人公が想像する猫の気持ちは、そのまま、主人公のもう一人の自分なんだろう。
色々な生き方があり、私たちはそれらを全て、手中にすることはできない。何かを選んだら何かを捨てたことになるのだ。そのことに、気づきながら、気づかないながら、私たちも、猫も生きていく。そんな選択の中でたまたま接点があった人と今一緒にいる。けれど、ほとんど、もう必ずほとんどと言っていいほど別れはくるのだ。
- 作者: 浅暮三文
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2004/09/10
- メディア: 文庫
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