贅沢な読書?

フリーペーパー「L25」でで福田和也『贅沢な読書 (ちくま文庫) 』が紹介されていたので、読んだ。紹介記事によると「暇つぶしに雑誌、推理小説を読むのはだめ」とのことで推理小説好きな私は怒髪天を衝いた。書店でテキストを確認したらそこまで断言している感じでもないけれど、言いたいことは間違っていない。つまり、暇つぶしの読書はだめで、本当にいいものを、味わって読みなさい。とまぁそんな主旨。(ちなみにこれは前書きでメインは書評でいいんだと思う)

本は好きだけれど、暇つぶしという動機も確かにある。それを否定されたら返す言葉はないけれど、でもそうじゃなくて。ともどかしく思っていたら、ぴったりの文章を見つけた。

「文学に限らず表現というものは、最終的にはこういう瞬間のために存在すべきなのである」(活字中毒R。)
http://www.enpitu.ne.jp/usr6/60769/diary.html

「時間つぶし」「気分転換」というのは、一般的には褒め言葉ではありませんが、それこそが、「表現の大きな役割」なのではないかと僕はこれを読みながら感じました。「勇気」とか「感動」なんていうのは、副産物でしかないんですよね、きっと。

表現者にとって、すごく辛いことが会った人の心を癒すために、自分の作品が寄り添えたら、それがたとえ「暇つぶし」に該当しても、嬉しいんじゃないか、と思う。