読書

おひとりさまの老後

おひとりさまの老後

著者が主張する、高齢者が家族と一緒に暮らすことより一人を選び、そのことを周りが哀れまないようにする、というのは全面的に賛成。「おじいちゃん、いつ死ぬの?」(『東京BABYLON/OLD』)なんて言われてまで同居したいのか?
とはいえ、この人、団塊ジュニア世代には冷たい。なので私は共感するよりつい反発してしまう。団塊に寄生しているニート兵糧攻め(家から追い出して強制的に自立させる)にすればよい、などと言っているけれど、セーフティーネットがなければ餓死か自殺ですよ?
「おひとりさま」とはいえ、その視点は女性に向かっており、男性は先に亡くなることが前提で書かれた本。この作者の考える男性像は相当ステロタイプな気がするが、今、そして高齢者予備軍である団塊の男性は多かれ少なかれこの類なのかもしれない。作者が男性に向けてのメッセージはシンプルで「その考え方を変えないと酷い老後(及び死に方)を迎えるわよ」(細木何某みたいだな)に尽きる。
老後の迎え方のハウツーというよりは、考え方を柔軟にするための本だと思う。これを読んで、自分のやるべきことを整理するためのきっかけになればいいんじゃないかな、と思った。