無事です

3月11日14時46分。東北関東地方にM9.0の大地震が発生しました。
正式名称は東北地方太平洋沖地震
地震とその後に襲った大津波火災その他で多くの命が奪われました。

私は無事です。
今のところ停電もなくて、節電は心がけているけれども、特に不自由なく暮らしています。
親戚も無事が確認されました。ちなみに、無事がわかるまで震災発生から一週間、かかりました。

地震発生から今までの経過を記憶で書きます。記憶なので間違っている点があるかもしれませんがご了承ください。

震災当時。金曜日でした。私は東京都内の建物の中にいました。
揺れは徐々に大きくなっていき、「これはやばい」と机の下にもぐりました。
今までに経験したことのない揺れでした。
揺れがやや落ち着いて、建物の中を点検し始めましたが、そうしているうちにも何度も揺り返し(余震)がありました。
その後、自宅へ帰宅しようにも、鉄道が止まっているという情報が入りました。
この日、都内では多くの帰宅難民者が出、靴と自転車があっという間に売り切れたそうです。

自宅の被害は、私の部屋の本棚の本が床に散乱していたことと、湯のみが一つ割れていたことくらいで大したことはありませんでした。

日曜の夜。計画停電が発表されました。福島の原発地震津波で壊滅して首都圏の電力をまかなえないとのことでした。
計画停電」とは首都圏を複数のグループに分け、時間帯別に停電が行われるというもので、
首都圏は地震そのものの被害は少なかったし、多くの人々が犠牲になった東北で、今も被災地で苦しんでいる人々のことを思えば、
停電くらい受け入れます、という気持ちでした。この時点では。
けれど、その後「計画停電」は「無計画停電」であることが徐々に判明していきました。
そもそも、東京電力の停電の計画の発表があまりに遅く、下手をすると「あと10分後に停電です」という発表のこともありました。
(けれど、私の居住地に関しては、実際に停電はありませんでした)
停電も、節電にも協力はするけれども、いきなり、今すぐ停電するかもしれない、では生活ができない。
これでは「無計画停電だ」と、混乱が広がりました。

混乱は家庭レベルにとどまりませんでした。
月曜の早朝に、最寄駅の鉄道路線がほぼ全面運休の知らせが入りました。
私は別路線を使って東京へ向かいましたが予定時刻を2時間もオーバーしました。
鉄道会社は電力の供給を正確に把握できず、よって、運行計画が立てられず、
この後しばらく鉄道は通常運行が行われませんでした。これは現在もそうで、
私の最寄り駅の路線は、通常ダイヤより本数を減らした運行をしていますが、全面運休の路線もあります。
また、木曜には、気温が下がったことから、電力需要が多くなるため、夕方以降、突発的な停電が起こる可能性があるとの発表がありました。
このため、帰宅を急いだ人々で多くの駅は人がごった返しました。
それでも結局、停電はありませんでした。節電が功を奏したようです。

福島の原発に関しては、私も含め、政府の発表を信じている人は少ないです。
遠方にお住まいの方は、すぐに逃げればいいと思われるかもしれません。
実際、そういう方もいらっしゃるのでしょうが、こちらにも生活があります。
マスクが売れているようですが、街を歩く全ての人がマスクを着用しているという感じはありません。
花粉症の時期なので、マスク率は元々高いですし、いつもと同じくらいという印象です。

電力不足のため、節電を求められています。
商店や会社は営業を休止したり、営業時間を短縮している商店が目立ちます。また、多くの店が看板の電気を消しています。
店内の照明も絞られています。電車の車内も日中は照明をつけず、暖房も入っていません。
当然、家庭でも節電対策で、炊飯器ではなくガスでご飯を炊く方法や、待機電力節約のためにコンセントを抜くなどの措置を、個人レベルで行っています。これを「ヤシマ作戦」(エヴァ由来)と言うそうです。

私の住む首都圏では、食料品の買い占めをやらないようにという報道が繰り返されており、
これを「ウエシマ作戦」(ダチョウ倶楽部由来)と呼ぶそうです。(「どうぞどうぞ」と譲り合うことの意味だそうです)
けれど実際、お店に行くと、さほど物がないという印象はありません。
私の気付いた範囲では、かなり品薄なのがカップラーメンとパン。(今日時点で)欠品が米と納豆でした。
これ以外の野菜・魚・肉はありました。惣菜や弁当もありました。

不足しているのはガソリンです。GSは長蛇の列でした。
そのため、街は車の数がめっきり減りました。

私の推測ですが、米の欠品は、パンが品薄なのと、物資不足のためか、学校で給食が停止していること。
あと、普段は飲んで帰るお父さんがまっすぐ家に帰ってきてご飯を食べること。
平日のランチが、弁当持参になることなどが原因ではないかと思われます。

余震はまだ続いています。
それでも、大地震の直後よりは減ってきました。今は、大きいな、と思う揺れが一日に一度というくらいです。
普段であれば、びっくりするような揺れですが、慣れた、という言い方も変ですが、この程度でよかったと思います。
地震酔い」というそうですが、常に体が揺れている感じがあります。

不自由な生活を強いられているという実感はありません。
節電は普段から言われていることだけれど、つい、忘れがちなことなので、それを実行しているだけです。
そもそも、この大震災の後にも関わらず、温かいものを食べ、暖房に不自由もせず、温かい布団で寝られるだけで
本当に、満足なんです。被災地では今でも多くの人が寒さや餓えに震えているのです。
それを思えば節電が何の苦痛になりましょうか。

思い返してみると、普段、何気なく使っている電気。
私が子供の頃と比べて、どれほど多くの電気が使われるようになったことか。
まず、駅。今は自動改札が当たり前ですが、かつては人がいて、ハサミをカチャカチャしていたものでした。
切符の自動販売機も、現在はタッチパネル式が多いですが、昔はただのボタンでした。
そして、家庭でも職場でも、一人一台もしくはそれ以上のパソコン。
コンビニにも、レジやコピー機、チケット発券機、ATMなどが、ほぼ全部の店舗に配置されています。

私の居住地は東京電力管内ですが、東京電力は、その管内に原発を所有していないそうです。
つまり、他所の地域に原発を建てて、その電力を享受していたのです。
なんと傲慢なことだったんでしょうか。

実際、計画停電の予定は発表されるものの、実際の停電は今まで一度もありません。
聞くと、都市部より離れた地域が、停電しているそうです。
名目は、都市部を停電にすると、機能が混乱するということなんでしょうけれども、もはやそんなことを言っている場合なのか。
そして、都市部の機能を維持するために地方が犠牲になることの是非を考えなければならないと思います。

日本国内と、そして世界の国々から援助の手が差し伸べられていると、ニュースで見ています。
本当にありがたいことです。
地震津波火災その他の直接的な被害はもちろんのこと、このたびの災害で停滞した経済によって、
生きていくことのできなくなる人が、被災地以外でも増えることが想像されます。
そして、東北の影に隠れている印象がありますが、長野や静岡でも大きな地震があり、それによって被害を受けている人もいます。
今でも強い余震が続く茨城と、原発の被害を受け続けている福島も心配です。

残念なことですが、このたびの震災を利用した詐欺などが横行しているという話があります。
実際、義捐金・寄付金詐欺はポピュラーな詐欺です。
詐欺かもしれないけど、募金すれば気持ちいいから、よく考えないでお金を出す、というのは
めぐりめぐって、被災地を、被災者を逆に苦しめることになるかもしれません。
こんなにつらいことがあって、TVでは目を覆いたくなるような映像ばかりが流れて、
思考停止してしまいたい気持ちはよく分かります。でも、考えることを放棄しちゃだめだと思います。
高額寄付金の話題ばかりが目につきますが、もともと不景気なこの世の中で、お金を出すことができない人も多いと思います。
それでも、考えることはできると思います。

今はうまく言えません。
震災から一週間で、思ったことを書いてみました。
長い文章になってしまいましたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。