夜中にドアホンが鳴った。

夜中とは、12時少し前。人を訪ねるのに相応しい時間ではない。その時風呂に入っていた私は、気のせいか、近隣の別の家の音かと思い、一度は聞き流した。ところが何度も鳴るうち、おかしいと気付いた。
穏やかでないものを感じて、風呂の電気を消し、服を着てそっと脱衣所のドアを開けた。
うちのドアホンにカメラはない。ただし、玄関扉がくもりガラスなので外に人が立ったら影は見える。けれど今は玄関の明かりが消えているので、影も見えない。目を凝らしても、人がいると思えばいるし、いないと思えばいない、程度にしか見えない。

私は2階の窓から玄関を見下ろしたが、人がいる気配はない。チャイムを押して立ち去ったなら、今はいなくてもおかしくはないが。例えばピンポンダッシュ。けれど、あの遊びはチャイムを押して人が出てくるところを見て楽しむものなので、側に人がいないとおかしい。2階から玄関付近を俯瞰したがそのような人影はない。回覧板を置きに来た隣人が置いた合図にチャイムを鳴らすこともあるが、この時間に来るほど非常識ではないはずだ。

チャイムは鳴る。暫くは家の中で息を潜めていたが、意を決して玄関前に立ってみた。先述の通り玄関扉はくもりガラスなので、向こうからもある程度こちらが見えるだろう。けれど、チャイムが鳴っても相変わらず人影らしきものは見えなかった。相手が息を殺して微動だにしているのでなければ。

更に思い切って玄関扉を開け、外に出てみた。怪しい人影はない。私が外に出ている間にもチャイムが鳴ったと家人が証言するが、私は玄関前に人影を見なかった。玄関に向かうには南北に門がある。南側の門の前には私がいたし、北側の門は閉鎖されている上に開閉には物音がするので私が気付かない筈がない。玄関付近に身を潜めていられる場所もない。*1

ということは、不審者でもイタズラでもない。そうなると、人でないものか、ドアホンの故障になる。*2どちらかというと、人だった場合の方が怖い。人でないもの、例えば幽霊だとしても、その誰も私や家人に危害を加えることはない。以前に助けたヤモリだろうか、可愛がっていた隣の猫か犬だろうかとも思ったが彼らがドアホンを鳴らすとも思えなかった。
人だったら…。一番怖いのは放火だった。*3玄関の側の物置には灯油がある。鍵をかけてあるが物置の鍵程度なら力ずくでも開けられるだろう。

チャイムが一度止んだのは1時近く。一応、人ではなさそうなことが分かったし、これ以上起きていても仕方がないので布団に入った。一度止んだというのは、その後2時半頃にもまた鳴ったからだ。これは無視したが朝6時過ぎにも鳴った。このチャイムで起床した。そして玄関を開けると……誰もいない。それでもチャイムが鳴り続けていた。
外が明るくなったことで、改めて「故障」であることに確信を持つことができた。電話機のコンセントやモジュラーの抜き差しをしてみても、状況に変化はない。チャイムは鳴り続ける。しかも夜のうちは間隔があったのに電話機を接続させている限り鳴り続ける。近所にも迷惑なので電話機の電源を抜き、ふと思い立ってPCを立ち上げた。

そうしたら…案の定。

【悩み】ドアホン(インターホン)の故障??いたずら??
http://okwave.jp/qa2932766.html

ドアホン、インターホン等に詳しい皆様!!お力を貸してください。m(_ _)m

家のインターホンが夜中や明け方になると、勝手に鳴るんです。1993年位の物で、ドアホンは一般的なNTT製、そして家の中のインターホンは松下電工製のホームテレホンです。(家の中に4台・内線可能)

最近夜中頃になると、ピンポ〜ン♪としばしば鳴るので、気味が悪く、先日警察に夜中来て頂きました。「不審者はないようですが・・・」とドアホンの横で警察の方のお話を聞いていると、突然ドアホンが、ピンポ〜ン、と鳴ったのです!!
信じられなくて・・・。ただの故障ならいいのですが、でも夜中だけ鳴るなんておかしい気もしますし・・・。

故障以外に考えられることはありますでしょうか?(リモコン等遠隔操作によるイタズラ、or電話回線?操作によるイタズラ等??)

どうか詳しい方がいらっしゃいましたら、是非教えてください☆m(_ _)m

相談者と電話機のメーカーは違うが、症状は全く同じ。夜と朝方というのもほぼ同じだ。念のためメーカーのサイトも見てみたが、この件に関する記事は発見できなかった。原因は質問の回答にある通りなのだろう。残念ながら(?)ミステリでもホラーでもなかった。対策は今後の課題。

というわけで、今日は寝不足。どっとはらい

*1:ミステリっぽいじゃん!…と思えるのは今になってのこと。この時はそれなりに怖かったのでここまでは考えなかった

*2:玄関を開けて人がいたらミステリー、いなかったらホラーだな…ということは少し考えた

*3:考えすぎかもしれないが、ちょうど日恩明の『鎮火報』を読み終えたばかりだった