選ぶ側であって選ばれる側ではなかった男の子であるからこそ、それが選別にさらされ、東大出(中略)…などという人肉市場に連れだされたと知った時女の子以上の恐怖にさらされる。それはしかし、これまでは買い手でこそあれ売り手になることはまったくまぬかれ、だからこそ買われる側の屈辱や恐怖、ナルシズムの危機、諦念、などをさえ笑い物にすることすらできていたからこそのパニックである。男の子たちは、女の子たちをさんざんみめかたち、女性としての機能、家庭維持機械としての機能、付加価値、新品かどうか、で選別したい放題にしてきた。(中略)彼らは自分たちが外見(中略)によって裁かれ、選別され、ランクづけられるだろうなどと想像したこともなかったのだ。(中略)逃げ込む先がついにまったくなくなったと知ったので、今度は彼らは内宇宙に逃げ込んだ。
最近読んだ。読書記録代わりの覚書。
今頃こんなもん読んでるというのは恥ずかしいのだけれど。語られる題材に時代は感じるものの、今読んでも充分面白いです。
- 作者: 中島梓
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1995/12
- メディア: 文庫
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